哀しいkiss 2

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Aside


あの日の事は、今でも忘れない




何度も、夢に見て…
何度も、夢であってほしいと思った







雪がちらつくあの日



太輔が私の為に用意してくれた部屋に
裕太が訪ねて来た日のこと






.






.







あの部屋の存在は、一緒に食事をした横尾さんしか知らないはずだった
太輔にも、自分が連絡を入れた時以外は、絶対に誰も入れず、鍵を開けるなと言われていた






でも、
裕太が太輔から頼まれごとをした、と言って訪ねて来て戸惑いながらも太輔の仲間であり、馴染みのお客様の裕太だから…と安易に鍵を開けてしまった





.






.







玄関先
まだ、閉じ切ってないドアの前で抱き竦められた身体




頭の中が、真っ白になった







？





裕太!?









南青山の店の常連だった裕太


太輔と出逢う前までは、私が唯一話せる男性だった


裕太のおかげで、自然に笑えるようになり
接客も出来るようになった





気さくで、優しくて…心を許せる存在だったけど、
それは、お互い恋愛感情じゃないと思ってた






でも…
そう思っていたのは…私だけだった






.







.






優しくて温厚で、いつもふわふわしてる
裕太にあんな一面があるなんて想像もしなかった





逞しい腕に抱きしめられた身体は
突き放そうとしても、叩いてもビクともしなくて
あの綺麗な顔をビンタしても彼はひるまなかった






ただ、耳元で




ー好きだ

ー好きなんだ


そう繰り返すだけ









悪夢だと思った

悪い夢だと



いつも、太輔に優しく包まれる寝室に
どんどん押しやられて…叩いても叩いても
裕太はひるまなくて、身体だけじゃなく
後頭部を掴まれて成すすべもなく捕まった身体





裕「好きなんだ…」





！






！！






重なった唇




太輔じゃない香りに包まれ、太輔じゃない体温に
縛られていく






「離してッ！」






「お願いッ！！」







「お願いだから…ッ！！」







「裕太ッ！！」





声は虚しく響き渡り…
自由を奪われた身体は
ただ…ただ、裕太にされるがままだった

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