哀しいkiss 2

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太輔side

しとしと降り続く雨

梅雨独特の湿気と6月とは思えない冷たい空気





福岡はあんなに天気が良かったのに…
あっちは今日も天気がいいのかな





宮と玉は、福岡観光をするって言ってた


俺も行ってみたいと思ってた糸島と
駅ビルの屋上にいる小人？を見に行く、って。
うきうきしてる宮と裏腹に、玉は早く東京に
帰りたそうに見えたのは俺だけ…か






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ふらつく足で、マンションのエントランスを出て
大通りで右手を挙げた






傘もささずに立ち尽くす俺をタクシーは
すぐに拾ってくれた






ーどちらまで





バックミラー越しに俺をみた運転手








太「…南……青山まで…」






視線が合って初めて、帽子もマスクもつけずに出て
きたことに気がついた









ちらちら俺を見てる運転手



もしかして、バレた？






.






.






ーお客さん、大丈夫ですか？顔色悪いけど…
車の中で、吐かないで下さいね





どうやら、酔っ払いと間違われたらしい







太「あ、…大丈夫です…
少し、疲れてるだけなんで…」







その後は、沈黙が続いて
すぐに南青山の交差点についた








.







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雨足はいくらか弱まったようだ




日中は、お洒落な人で賑わうこの辺りだけど
店舗が多いせいか、出勤前のこの時間は、
人通りも疎らだ





タクシーを降りて、一歩足を踏み出す




.





.








何度、ここに来ようと思っただろう
君に逢いに…







でも、その度毎に、異なる感情が俺を制した


Aは俺を裏切った

他の男と関係を持って…そして、あの部屋を
出て行った

俺を捨てて…

俺との別れを決めたんだ

ー憎しみと悲しみ

もう、俺なんか忘れたに違いない

ー切なさ

なんで、許せなかったんだろう

ー後悔






でも、もう

そんな気持ちは微塵もなくなってしまった




ただ…ただ

彼女に逢いたくて…





Aに許しを乞いたくて

もう一度、俺の側にいて欲しくて





.






.





いつも、車を停めた駐車場を過ぎ
Aに逢う為に、何度も通った道を横切ると
俺を見つけると嬉しそうに微笑み、
目を逸らした君を思い出す






あの角を曲がれば…君がいる場所


Aが勤めていた花屋





二人が出逢った場所








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どくん、どくんと鼓動が早くなり、


耳の奥で金属音が鳴る




何か、苦しい





上手く息が出来ない




何だ、これ…




どう…した…？

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