哀しいkiss 2

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太輔side

すぐに玉に連絡を取り、マネージャーさんに
玉の部屋に送って貰った


花束は、Aちゃんに逢う為の口実
だったから、本当は玉にあげてもいいかなと思ったりもしたけど、そうもいかない


普段から友達は勿論、メンバーさえも
部屋に呼ばない玉




玉のマンションに来るのは、これが初めてだった




裕「はーい」

撮影後とは打って変わって明るい声




裕「上がってきてーー」


物の少ないシンプルな部屋に、間接照明が光り
窓辺には、観葉植物




この部屋も…今までの部屋と同じ
玉らしい部屋だ





裕「あ、花…それね」



飲み物を探して冷蔵庫を覗きながら
玉が言った




カウンターキッチンのテーブルに置かれた花束





淡いピンクや黄緑、クリーム色に薄紅色
俺に作ってくれたのとは、全然違う柔らかな雰囲気の花束


俺の母さんへ、だもんな




裕「はい、これしかないわ」


リビングのテーブルに置かれた缶ビール



太「ごめ、気ぃ使わせて」





太「明日も早いのに悪いな」

この所の玉は、映画のプロモーションで
撮影が目白押し、休む暇もない




太「花も…」




ちらっと、カウンターキッチンに視線を送る






裕「別に〜」


裕「ついでがあったから」



太「ついで？」





裕「そう〜、頼んでた鉢のカタログが届いた
って連絡来たから、取りに行ったの」




頼んでた？


裕「ほら、あれ…」

玉が指差した方には、もう天井につきそうになってる大きな観葉植物




裕「植え替えなきゃでさ…」




裕「まぁ、それは店の人にやって貰うんだけど
鉢をね、頼もうと思って…」





太「そっか…」



ほっと安心してる俺がいた

前からその事で"Aちゃん"じゃなく
"店"と連絡取り合ってたんだ


だから今日も、玉に連絡が来たんだ




玉と彼女の間に特別なことはないんだ






太「そうだったんだ…」




玉と彼女には、何かがあるんじゃないか
ずっと引っかかってた何かがすっと消えて
気持ちが軽くなっていくのがわかった

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