哀しいkiss 2

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太輔side


太「戻ってきて欲しい…」


ただ一つ、俺が望むこと






太「もう一度…やり直したいんだ…」





.






.






「….…」


真っ赤な目をして立ちすくんでいるA







太「お……願い…」


閉じかけている喉に力を込めて、絞り出すように言った






もう一度、俺にチャンスを頂戴







.







.








.






A？







「…む、…り…」



？


今…何て









太「A？」








カタカタ震え始めた細い肩



そして、震える指先で覆われた唇







「無理だよ…太輔…」






太「何で？」




太「どうして？」







「私は…太輔を裏切ったんだよ、太輔だって
わかってるでしょ？」






「…あの日…私が、全てを告白した日
太輔だって、私を許せないって……ッ…」








「…そう…言った…」






.






.








.





そうだった、確かにあの日
君が全てを打ち明けた日、俺は君の裏切りを
許せないと思った


大好きで大好きで
大切に大切に愛して来た君の裏切りが許せなかった



それは…事実






でも

失ってみて初めてわかったんだ
君の存在の大切さが…







太「あの時、俺は一時の感情で君を許せないと思った…そして、確かに別れようと言ってしまった…」







太「でも…」







太「ダメなんだよ、Aがいないと…」








「……私は、太輔を裏切ったんだよ…」








太「もう、そんな事はどうでもいい…」





「…？」








太「そんな事、君を失うことに比べたらなんでもないんだよ、やっとわかったんだよ…」







太「だから…」







「……太輔…無理なの、今更…無理なの…」








太「何で？どうして？」








「……」









太「ねぇ、A…」







太「前からおかしいと思ってたんだ…」







「…？」





太「Aは…俺が初めて、だったよね？」






太「そんなAがさ、」






太「浮気するなんて…おかしい、って…」





「…！」





太「真面目で、ウブで…子どもみたいに純情なAが…俺と付き合ってるのに浮気なんて…」







「……ちが…」







太「何か、訳があるんじゃないの？」






「…ちが、…そんなことな…」







太「あんなに俺たち愛し合ってたのに…
おかしいだろ？」








太「何が、あったの？」







太「何か…あったんだよね？」

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