哀しいkiss 8 ページ25
小さな膨らみを掌で包み、そしてその柔らかな肌に
唇を這わす
きめ細やかなマシュマロみたいな膨らみ
人工的じゃない女性独特のフェロモンの匂いが
鼻を擽る
ー初めてだったんだ
ふと霞める太輔の言葉
ーいちいち反応が可愛くてさ
遠くで他のメンバーに話す言葉の一つ一つが、
否応なしに耳に入って来て、息苦しさと同時に
その時のAを想像しては身体が熱くなった
ーいつもなら、そうゆうのウザいとか思うのに
ーAは違うんだよね
低く落ち着いた太輔の声
ー泣かせたくない、って思うんだ
ー傷つけたくない、って思うんだ
その時、ニカが突っ込む
ーじゃあ、出来ないじゃん
…って。
ずっと背中越しに聞いてた話だったけど
その時になって初めて振り向いた
太輔が、何て答えるのか知りたくて
どんな顔してるのか見たくて
なるべくさりげなく見えるように振り向いたんだ
楽屋のパイプ椅子に深く腰掛け、
長テーブルに置いた指を組んだ太輔
その右隣にはニカ、左には横尾さん
ニヤニヤ笑って返事を待ってるニカ
ーだよな
ゆっくり視線を足元に落とした太輔
ーそれでもいい、って思うんだ
ーはぁ?
また、ニカが突っ込む
ーいいんだよ、もう…そういうの
薄いカーテンが、風に揺れた窓に移った太輔の視線
ーAといると
そういうのさえ、いらないって思えるんだ
下がった目尻と少しだけ上がった口角
想いをそこにはいないAに馳せて、慈しむような表情
それ以上、ニカは何も言わなかった
何も言えなった
.
.
.
ー太輔も本気で人を愛した、って事だ
ポンポンと、横尾さんが太輔の肩を叩いて
止まっていた時間は、再び流れ始めた
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作者名:トウコ | 作成日時:2019年5月25日 18時