ただ…笑ってて。 (ページ13)

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イブの約束。&Ｆ 2 ページ13

太「はい、もしもし？」

チャリティーと同時に「ありがとう」を伝えたい人へのメッセージ

電話の音は、鳴り止むことはなく

各地のラジオ局と繋いでのリレーも行われる

そう、俺のひーおばぁちゃんのいる岩手とも。

太「もしもし…？」

押し黙ったままの電話

こんな時まで…いたずら電話？

そういうの無理だわ

太「あの…」

太「もしもし？」

『あの…』

あ…よかった、いたずらじゃなかった…かな

『ありがとうを…伝えたくて…』

太「お電話ありがとうございます、誰に
ありがとうを伝えたいですか？」

『太ちゃ…、あ、ちが…藤ヶ谷君に…』

太「僕にですか？」

『……は、…い』

太「キスマイのファンの方かな？」

『………』

太「もしもし？」

『幸せな時間をありがとう、って…』

『一緒に夢を見れて幸せだった、って…」

…

…

ちょ、

これ…

この声

間違いない

間違えるわけない

この声は…

.

A

太「お名前は…？」

メンバーならともかく、スタッフにバレるわけにいかない

『……』

太「Aさんですか？」

周りにはわからないように

でも、電話の向こう…俺が今、一番逢いたい人には

伝わるように気持ちを込めて聞いた

『！！』

太「そうなんですね…」

電話の向こうですすり泣く声が聞こえる

やっぱり、Aなんだね

太「幸せな時のお礼を言いたい、と」

『は…い…』

太「幸せだったんですね？』

『……』

太「いや、その前に…今は…今は幸せなんですか？」

『え…』

太「過去形なんて寂しいじゃないですか
今は、幸せなんですか…Aさんは…」

『私は……』

太「寂しくないですか？」

『…ッ…』

泣き虫は変わらないな…

太「もう一度…幸せな時間作ろうよ」

『え…』

太「過去形なんて嫌だよ」

幸い鳴り響く電話の音と話し声で、
周りに俺の声は聞こえない

太「寂しいよ、俺は…寂しかった、ずっと…」

太「Aがいなくて…」

太「まだ、ありがとうも言えてない…」

太「幸せにも出来てない…」

太「だから…もっかいやり直そう…」

太「四年前に戻って…」