苺は、私。11 ページ10
裕太side
いらない、って
嘘…だろ？
呆気に取られてる俺を他所に
Aはあっという間に、下着を着けていく
「A？」
「A！？」
ごめん…
やりすぎた
調子に乗りすぎた
待って…
待って、行かないで…
「A！」
振り向きもせず…
すたすた寝室を出て、玄関に向かうA
Aは…
本気だ
.
.
「さようなら」
律儀に…冷たく…微塵の未練もなく
俺に言い放った別れの言葉
そうだ
忘れてた
忘れてたよ…
どうして、こんなにまでも
Aに惹かれるのか…
他のオンナじゃダメなのか…
そうだ
Aは…
Aの全ては…まだ俺のものじゃない
いくら、愛しても
俺だけのものになることはない
腕の中にいるようで
俺だけを見ているようで
ふとした瞬間に
するりと逃げていく
簡単に…
俺から離れていく
その不安定さが
俺を魅了してるんだ
小さなスニーカー
俺が、プレゼントしたお揃いのスニーカーに
足を入れたA
もう、何にも言うことないの？
本気…なの？
「じゃあね、」
「ばいばい…」
止めなきゃ
ここを出て行ったら、
きっとAはもう二度と戻らない
でも
何て言えばいい？
何をすれば
Aは振り向いてくれる？
俺は
どうすれば…いい？
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作者名：トウコ
| 作成日時：2018年9月29日 15時
