俺の半分。&K ページ30
光り始めた瞳
真っ直ぐ、俺に向かった視線
そんな目で…
俺を見ないで…
.
.
「玉…好きなんだって…お前のこと…」
そう吐き出すように言った時と同じ瞳
「…私は…」
「私の気持ちは…」
.
.
「玉は…大切な仲間だ…」
俺が、Aを目を見たのはそれが最後だった
.
.
「宏光が…」
「それを…望むなら…」
.
.
言葉の最後は、よく聞き取れなかった
頭とは裏腹に…心は、自分の選択を拒否してたから
俺なんかより…
絶対、玉の方がAを愛してくれる
.
.
バージンロードを歩くA
全てを白いレースが覆ったウェディングドレス
玉らしいな…
Aの肌は、誰にも見せなくない、ってこと？
.
.
一歩…また、一歩…と進むA
今なら…まだ、間に合うのか
今なら、玉からAを奪えるのか
…？
A？
丁度…俺の真横で止まった白いドレス
騒めき始める招待客
A…
俯き…口元を押さえてるA
チュールレースの下で、その涙が光ってる…
「何どうしたの？Aちゃん…」
「玉、待ってるよ…」
「大丈夫、ファンの皆もわかってくれるよ…」
事情を知らないメンバーが、明るく声をかける
ほんの少しだけ、傾いた顔
そして…俺を見た瞳と動いた唇
「私を…さらって…」
「宏光…」
君の…最後の賭け
俺が、グループを取るのか、自分を取るのか
最後の賭け
「…お願い…」
大好きだった…
一緒に泣いて、笑って…
何もかもが、Aと半分ずつ…
二人で一つの思い出を作って来た
Aがあの部屋を出て行って
毎日毎晩…俺は、半分ずつを突きつけられ
声を殺…して泣いた
諦めるんだ、忘れるんだ、…って
Aは…玉のもの
.
.
.
「……私は…」
「貴方を愛してる…」
「お願い…」
「最後の…お願い…」
.
.
俺はきつく目を閉じ、一つ深呼吸をして
拳を握りしめた…
「Aちゃん…」
.
.
「玉が、待ってるよ…」
俺が出した答えは、変わらない
俺は…君よりグループを選ぶような男
知ってるだろ？
だから
玉のとこに行きな…
そして、幸せになって。
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作者名：トウコ
| 作成日時：2018年9月29日 15時
