名前も知らない貴女と。３ ページ25
太輔side
「やめて」
「お願いだから、やめて…」
太「じゃあ、訳教えてよ」
「……」
太「教えて…」
.
.
….トン
諦めたように、ソファに座り込んだ彼女
.
.
「私…」
「私って…」
「オンナの魅力ありますか？」
…え？
「抱…きたいと思いますか？」
へ？
.
.
「私…」
「抱い…て貰えないんです…」
「主人に…」
太「え…？」
「もう、結婚して…半年になるのに…」
太「何で…」
って…それを聞いてんのか
「彼…」
「結婚前から付き合ってる人がいるんです…」
太「はぁ？」
太「じゃあ、何で結婚…」
ふ、って…寂し気に笑った貴女
「今時って思うかもしれませんが…いわゆる
政略結婚なんです…」
政略結婚…
「親同士が決めた…」
太「そうなんですね…」
今もそういうのあるんだ、昔の話だと思ってた
「だから…かな…」
「彼…私に興味ないんです…」
こんなに可愛い人に興味がない、なんて…
俺には、不思議…
「主人は、夜は食べて帰って来ます…
ベッドは…別々で…
朝だけは、一緒に食べてくれるんですけど…
会話とか…なくて…」
「私なんて…仕事の事も何もわからないし…」
「料理は、教室で習ったけど…美味しいかどうか
分からないし…」
「広いマンションの部屋にずっと一人で…」
「でも、こんな事誰にも話せなくて…」
「…ずっと…一人で…」
「一人で考えて…」
「一人で悩んで…」
.
.
「それで…」
「それで…ッ…」
「それで、こんなこと…」
.
.
「ごめんなさい…」
「面倒くさい女で…ごめんなさい…」
「きっと…だから…」
「主人も、嫌なんですよね…」
「私のこと…」
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作者名：トウコ
| 作成日時：2018年9月29日 15時
