苺は、私。12 ページ11
裕太side
代わりなんて…いくらでもいる
ちょっと、街を歩けば
直ぐに男なんて寄って来る…
苺だって
もっと沢山買って貰える…
そう思ってるのか、A？
.
.
「明日は…千穐楽…」
「子猫ちゃん、鳴かせたかったな…」
「いっぱい、気持ちよくしてあげたかったのに…」
「爪、立てていいのに…」
「Aが、して欲しいこと…
全部してあげるのに…」
一か八か…俺は、こっちに賭けた
Aの性に
行かないでと、素直にすがるか…
悲しいと、泣くか…
高圧的に、命.令するか…
どうすれば、彼女を引き止められるのか
悩んだ末に、Aの性に賭けた…
.
.
オンナの性に…
だって…
俺たち…最高のパートナーだろ？
俺の性を満たすのは、A
そして
Aを満たせるのも…俺だけだろ？
俺が…一番だろ？
…
…
スニーカーに添えた指先が、ピタリと止まる
ほら、作戦通り…
うまくいきそう
「明日…？」
背を向けたまま、俺に問うたA
「そうだよ、明日は千穐楽…」
「Aが待ちに待った日だよ…」
明日になれば
もっとAの欲を満たしてあげられるんだよ？
子猫の爪、立てていいんだよ？
しかも、
月曜は休み
朝まで…いや、一日中だって愛し合える…
「何がいいの？…何をして欲しいの？」
何でも、言ってごらん
「……」
「さっきの続き？」
胸…途中だったもんね
途中で余計な事しちゃったもんね
あんなに、気持ち良さそうだったのに
悪かったよ
ほんとに…悪かった
「A？」
「……」
「シて欲しいこと、言ってごらん」
「……」
「A？」
Aは、何をして欲しいの？
何が、一番の望み？
.
.
「……無事に終われば….それでいい…」
「え？」
.
.
「裕太の舞台が、無事に終われば…」
「それでいい…」
A…
「他に何にもいらない…」
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作者名：トウコ
| 作成日時：2018年9月29日 15時
