xLunaSx ＊俺の彼女 短いお話集47＊

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太輔side

「…ッ、」





「先輩…」





芽依の声が、俺を現実に引き戻す






「…ッ、あ……」



綺麗な指先で口元を覆い、

そこから漏れ出てしまう声に蓋をする






目の前にいるのは…


芽依だ





同じように、俺からの愛…撫に耐えきれず

声を我慢していたAとは別人





Aの影を振り払おうと

芽依の身体に顔を埋め、その白い肌に

唇を這わす






柔らかな肌

吸い付くように滑らかな肌






Aの肌も、そうだった

指を這わすと

俺を捕まえて離さなかっ…た…





きつく目を閉じて

何度も、これは芽依なのだと言い聞かせても

頭ではわかっていても

身体と心は、Aを思い出す




Aの身体と声と心を…








深く沈めたはずの心の奥深くから

忘れられるわけないだろ？

そう言うかのように…








…






…






忘れたい


忘れなきゃ…





芽依



芽依…助けて







俺を、この呪…縛から救ってよ







太「芽依…」






「…ん…ッ」





太「俺の名前呼んで…」






「…？」







俺の名前を呼んでよ、芽依


芽依の声で…








俺が、Aのトコに戻ってしまわないように







「藤ヶ谷…先輩…」





きっと

芽依なら…俺がこんなことを言い出す訳を

わかってるはず




傷つけてしまうかもしれない

でも…




俺は、Aを忘れて

芽依を感じたいんだ








「先輩…」







太「ちが…」





「…？」







太「名前を呼んで…」






「名前…」







太「太輔、って呼んで…」






「え…」








太「呼んでよ…」






「でも…」







太「その可愛い口で…俺の名前呼んで…」





…






…







太「ほら…」








…








…







「太輔…先輩…」








太「違う…」







そっと、その頬を包んで

もう一度上から見下ろした







太「違うだろ？」







「……」








太「芽依…？」







太「呼んで…」







太「俺を助けて…」







太「芽依が…」







…







…





「……私が…」






「助ける？」









太「そう…言ってくれたよね、芽依？

幸せにしてくれる、って」








太「芽依？」








「…ん、」







「私が…」







「幸せにしてあげる…」







「貴方を…」







「幸せにしてあげるよ…」





「太輔…」

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