偽物の愛。〈俺の彼女お話集42〉 (ページ40)

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裕「やだ」

…？

裕「嫌だ…」

「何言って…」

「そこに…さっちゃんいるんでしょ？」

裕「外だから」

？

裕「部屋から出てきたから」

"部屋"その言葉が

いまの二人をリアルに表してる気がして

ますます苦しくなる

苦しくて…

悲しくて…

「さよなら…」

もう、全てを終わらせたい

そう…心の底から思う

「切ります」

貴方と繋がったこの電話を切って…

全て忘れてしまいたい

裕「やだ、ってば」

裕「切らないで…」

「何…」

裕「俺の事…気になってるんだろ？」

…！

裕「泣いてるって事は、気になってる証拠…」

裕「俺と二人で逢えると思ってたら

桜智が一緒だった…」

裕「さっきの君の顔は…」

…？

何？

裕「嫉妬に狂った顔だった…」

「何、言って…そんな事ない！」

裕「嘘…」

裕「嘘だね…」

「嘘じゃない…」

裕「じゃあ、あれから何を思ってた？

俺と桜智と別れてから…」

裕「今…二人は何してるんだろう…

今頃、二人は…愛し合って…

そんな事ばかり考えて、泣いてたんじゃないの？」

「ちが…ッ」

「そんな事ないッ！」

裕「私の事好き、って言ったのに…って

私に逢いたい、って言ったのに…って

そう思って…泣いてたんだろ？」

「ちがう…泣いてない…

泣いてないし…ヤキモチなんか妬いてない！」

「泣いてない…ッ…」

どうして…

そんな風に私の心の中にズケズケ入ってくるの？

私の気持ちを掻き回すの？

私を…

…ッ…

「もう…嫌…」

「や…」

裕「これから、逢えない？」

！？

何…言ってるの？

さっちゃんがいるくせに

裕「桜智は…よく寝てる…」

貴方に愛されて？

貴方が言う…意識がなくなるまで愛されて

眠ってるの？

「嫌…」

桜智を愛したばかりの貴方に

逢いたい訳がないでしょ？

裕「出ておいで…」

…？

裕「これから15分で行くから…」

「だから…嫌ッ！」

裕「….…出て来い」

「…？」

「絶対、嫌…」

裕「出て来い、って…」

「や…」

裕「これは…命…令…」

裕「命…令だ、お前にノーを言う権利なんかない」

裕「言う通りにしろ…！」