翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

13 ページ8

裕太side


「ダメ…」




「やだ…」





…？


何…






「帰らない…」



Aちゃん？





「まだ、全然見てない…」




「ホワイトタイガーだって見てない…」






「絶対、帰らない…」







「行こ！」




君の手のひらが、

俺の手のひらを掴む




小さいのに、すげーあったかい手のひら






ぎゅ、って

俺の手のひらを掴んで、

そして

俺を見つめると、ふわっと微笑んだ







「行こ、ゆーた」





俺の大好きな笑顔




首を少しだけ傾けて…目を細めると、

タレ目ちゃん

長い睫毛がクルンとカールしてる







「行こ？」






焦りに焦ってる…俺の心の中、全部お見通しで

尚、何も気づかないフリして笑ってくれてる

そんな、気がした






優しい子なんだ、って

思わずにはいられなかった





すげー優しい


可愛いだけじゃなく…

思いやりがあって…優しい








繋がった手のひらから

まるで魔法みたいに君の魅力が伝わってくる






やばい


やばいよ






益々…君を好きになっちゃう




身体中が、指先から攻めてくる君の魅力に

浸潤されてく






「ゆーた」




ホワイトタイガーが、檻を見つけて

嬉しそうに見上げた君





君の茶色い瞳に俺が映ってる




息が止まりそう…だった



いや、止まってた






君の魅力に浸潤されて

骨抜きにされた身体に…

いきなり、君の視線を浴びたから…







もう…無理


俺は…


君以外、見えなくなった





君が…好き





大好き







例え、君が…

他の誰かを見ていても




俺は…君が好き






君の側にいたい

14→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す