翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

43 ページ38

裕太side


「電話…いいの？」





「さっきから…ずっと鳴ってるよ…」







裕「いーの」






枝垂れ桜の下のベンチ

Aと手を繋いで座ってる最中に

鳴り始めたスマホ







「お仕事の電話じゃないの？」






「ねぇ、裕太…」




「ジャニーズって、急なお仕事多いでしょ？」









裕「いーの！」




裕「今日は、やっと貰えた半休なんだからッ！」







裕「それよりさ…」






裕「写真撮ろ？」






「…え？」






裕「二人の写真…」






裕「初めての写真、付き合った記念の写真…」






「………」





裕「A？」






「あ、うん…」




なんで、そんな不安そうな顔すんの？

写真なんて

恋人同士なら普通でしょ？



まぁ、俺たち色々気は使うけど…


Aの事、信用してるよ？






裕「…？」







「写真…撮ろ…」



やっと緩んだ頬

頷いた笑顔







裕「ん♪」



裕「桜をバックに…ほら、もっと近くに来て…」






裕「ほら、入らないよ！」






遠慮がちに佇む彼女の肩を抱いて

自分に引き寄せ…

そして…頬を寄せる…






大好きなラボンの香り…



柔らかな髪からは

コンデショナーの香り？







裕「見て、こっち…」





恥ずかしそうに俯いてるA





裕「A！」






裕「撮るよ…！」






「…ん…」



やっと、前を向いたA


やっと、スマホの画面に収まった桜と俺とA






裕「いい感じ…」








裕「すげー良く撮れたよ…ほら！」







裕「ラインで送るね！」






…






…







「…？」




裕「ん、何？」





…






…






「写真…いいの？」






裕「は？」






「私に送ったりしていいの？」







裕「何で？」







裕「えー、何でダメなの？」







「だって…」






「もし…」






「もし…マスコミに流れたら…」





裕「？」






「ジャニーズの人って…絶対写真渡さないよね？」





…







…







…






「………あ……」





…






…






裕「どして？」





裕「どうしてそんなこと言うの？」






裕「何で？」






…






…







…






裕「前から思ってた…

Aって凄く、俺らの業界の事に詳しい

って…」





裕「さっきも…

ジャニーズは急な仕事が多いって…」







裕「…どうして？」







裕「何で…なの？」






裕「何で…そんなに詳しいの？」

44→←42

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す