翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

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裕太side

裕「明日…って、逢える？」




映画の撮影に入ってからは

全然、休みなんてなくて…


俺とAちゃんは

あの日…動物園に行った日から逢えないままだった







それでも

時間があるとラインして

夜…仕事が終わるとビデオ電話をした






スマホ越し…

その日あった事…

見た事…

たわいもない話す毎日






彼女だって仕事してるんだから

あんまり長くなっちゃ悪いな、と思いながらも

楽しそうに話を聞いて笑ってくれるのが

嬉しくて気がつくと夜中だった








そして

やっと貰えた休み？



笑



明日の撮影は、午後5時まで。








裕「夕方からになっちゃうけど…」





迷惑かな…








「大丈夫だよ…」







「裕太…」







…






…






遠慮がちだった "ゆーた" 呼びが

自然になったのは、連絡を取り始めて

一週間後だった




慣れない "ゆーた" 呼びも

くすぐったくて、初々しくて良かったけど

彼女が、スマホ越しに

下から見上げるようにして

"裕太"って呼ぶのは…すげー可愛くて

名前を呼ばれる度に

俺は、心の中でデレてた




もっと…呼んで、って





出来る事なら

スマホ越しじゃなく…

直接…







それが、いよいよ…明日は叶う








裕「花見に行きたいな…」








「花見？」






裕「ん」







裕「夜桜…見物…」







「夜桜…？」






「でも…そんなトコ行ったら…」





確かに

人が沢山集まるようなトコだとダメだけど。







裕「大丈夫…」






裕「いいトコあるんだ…秘密の場所」








「秘密の…場所？」






裕「ん」








裕「俺の大好きなトコ…」









「裕太の…大好きなトコ？」


小首を傾げて…見上げた君






うわぁ、その顔

やばいよー

ちょー可愛んですけど








何？


煽ってんの？





笑





いや…

君は…無意識…か






思わず、抱きしめたくなる衝動を

グッと我慢







裕「明日のお楽しみー」






裕「絶対…綺麗だから…楽しみにしてて…」






…








…








裕「ね？」

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