翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

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彼女side


指先が繋がった時

ほんの一瞬だけど…太ちゃんを思い出した




玉森さんのは

柔らかくて女性みたいな手…






太ちゃんの指は

少しゴツゴツして…男のコって感じだったな…

って…







でも

その後すぐに

ぎゅーって、玉森さんの手に包まれて

そこから

玉森さんが入ってきたの





私の中にいる太ちゃんを

追い出すみたいに…








私を想ってくれてる…玉森さんの気持ちが

指先から…トクトク…トクトク…

私の中に入ってきたの






君を守りたい

君だけをみてるよ

君が好き


………って







ジンジン….ジンジン…

指先が熱くなるくらいに

玉森さんの気持ちが伝わってきたの









裕「今はまだ、好きじゃなくていい…」







裕「忘れられない人が、Aちゃんの

心ん中にいてもいい…」







裕「代わりでいい…」








「……」





裕「そいつの代わりに、君をあっためてあげる

それで、いい…」








「ゆーた…」







裕「全然いい…」







キツく結んだ指先が、少しだけ緩んで

そして

私の手をふわっと包み込む







裕「でも…」







裕「ちょっとずつで、いいから…

俺を……見て…」









裕「俺…頑張るから…」






裕「君の中にいる誰かに負けないように

頑張るから…」








裕「…いつか…君の一番になるから…」








裕「だから…俺を見て…」








「ゆーた…」







繋がった指先は、

一度離れて…そして私の背中に回った







きゅ…ッ






玉森さんの腕の中で

顔を埋めた玉森さんの胸は

凄くあったかくて…幸せで…





いつか

この人を好きになって…

この人を一番に愛せるような気がしたの







…







…






今はまだ

私の心の中にいる太ちゃんを忘れて

玉森さんを愛せるような気がしたの

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