翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

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彼女side


運命の糸は…

いとも簡単に切れてしまったけど……。







ううん

きっと…太ちゃんの赤い糸は

私の薬指からほどけて

他の誰かに繋がってしまったの

本当の…運命の人と。









太ちゃんは…

いつ…どんな風にして

ほんとの運命の人に出会ったの？




あの頃は、

デビュー前で凄く忙しかったのに…





その忙しい時間を抜い…

マスコミから逃げるようにして

私に、会いに来てくれてたのに…






あの茶封筒の日から

目まぐるしい日々





それでも

僅かな時間でも

互いの想いを確かめながら…

大切に…大切に…

愛を紡いでいたのに…





どうして…？






…






…








…








裕「Aちゃん？」







「…あ….…」



玉森さん…





私…

ぼんやり…して

また、太ちゃんのこと考えてた…




太ちゃんとの出会いから…

別れまでのこと






裕「泣いてる…」






…？






え…？








裕「また…泣いてる…」






嘘…





どうして？

いつの間に…






恐る恐る…指先で頬を撫でると





…….ッ…





涙…で…









濡れてる…







裕「好きな人…いるんだね？」






「………」







裕「片思い？」







「…….」






裕「告白しないの？」







「……」






裕「Aちゃん？」






「片思い…だから…

絶対…想いが通じる事はないから…」








裕「片思い？」








「…私が、勝手に想ってるだけだから…」







「だから…」







裕「そいつの事想って….泣いてるの？」







「…ッ….」







裕「想って泣くくらい好きなの？」







「あ….…ぅ…ッ….」






裕「無意識に思い出すくらい…

想って….泣いて嗚咽するほど…好きなの？」






「…んッ….あ…ぅ…ッ….」







「…ん、ッく…ッ….」







裕「Aちゃん！」





…！！





玉森さん！？






ぎゅッと、玉森さんに抱きしめられた身体





「え、や…！」






「ヤダっ」






ぐらっと揺れたゴンドラ




裕「じっとして！動かないで….」







「でも…」






裕「代わりでいいから…」





「え…」





裕「そいつの代わりでいい」







ぎゅ、って

もう一度、引き寄せられた身体







裕「代わりでいいから…君の側にいたい…」





玉森さんの甘い香りと温かな体温が

私の神経を麻痺させていく…






裕「俺を、そいつだと思って…愛して…」

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