翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

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彼女side



あの日の事を

後から太ちゃんは、こう話してくれた







太『ダメもとだと思ってた

でも、引く気はなかった…

断られても、絶対諦めるつもりはなかった…』

って…。






太『だって、俺たちは

愛し合う運命だとわかってたから….』

って、私を抱きしめながら言ってくれたの






運命…

そう…運命だったんだよね？

私たちの出会いは…。






私を初めて見かけたのは

多分、私が初めて渋谷の街に出かけた日






サークルの歓迎会の日





太ちゃんは

いつも月曜日に収録してた歌番組に向かう途中で、

駅前で友達と待ち合わせしてたらしいの







渋谷で迷子になったり

怪しいキャッチに捕まる女の子を

何度も見てた太ちゃんから見たら

私は、

ほんとに危なっかしい女の子だったみたい






小さな紙切れを握りしめて

右に左に人に流されて、ぶつかって…

同じ道を行ったり、来たり…







でも、まぁ

そういうのはよくある光景だし

太ちゃんは、特殊なお仕事をしてたから

あんまり目立った事は出来なくて

暫くは、私の事見守ってくれてたらしいの









早く、約束の場所に行けるといいな、

待ち合わせの人に会えるといいな、って

そう

念じながら…









丁度

太ちゃんのお友達が来た時だった、って

言ってた





私が、道を尋ねた初老の男の人が

丁寧に道と店を教えてくれて…





その人に

私が、お礼を言った瞬間が

自分が、Aに恋をした瞬間だった…

って言ってた





小首を傾げて

ふわっと微笑むと

大きな瞳が、ふにって笑って

タレ目になって…

赤ちゃんみたいに可愛かった、って…






その頃、

特殊なお仕事のせいで

気持ちが荒んでた自分の目に飛び込んできた

天使ちゃんだった、って







だから

もう、その日から

渋谷に行くと私を探した、って…



ううん、時間があれば、渋谷に行って

私を探した…って






そして

私の大学を見つけ…

時に、後ろからつけたりした…って








高校生みたいな事してごめんね、って。




怪しくてごめんね、って。





最初は

謝ってばかりの…太ちゃんだった









でも、

そんな太ちゃんに

私が、惹かれるのは…すぐだった





優しくて、思いやりがあって

真面目で…

何より

私の事を…大事に大事に想ってくれる…


その気持ちが

痛いほどに伝わって

側にいるだけで幸せになれた…



そうして

私たちは付き合い始めたの

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