翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

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裕太side




裕「Aちゃん…」




「…？」






空に向かって動き始めたばかりのゴンドラ

暫くは

絶対に、逃げられる事はない





もう、こうなったら

振られることになってもいいから

君に気持ちを伝えたい






裕「今…って…付き合ってる人いる？」




これは、きっとクリアする

Aちゃんには、多分恋人はいない

いたら、こんなトコ来ないよね

君は、そういう子だよね





戸惑いながらも…直ぐに開いた口

「.…いない….です」








…







…









裕「じゃあ…」








観覧車を降りる前に、聞いてしまおうと

気持ちが焦る






裕「好きな……人は？」






彼女の心の中には

想いを寄せてる人がいる気がした….




片思いなのか…

或いは、過去の恋人なのか…分からないけど

きっと…多分…







「………」


下を俯いてしまった君






裕「Aちゃん？」




「答えなきゃ…いけませんか？」






…






…






裕「答えて….欲しいかな」






「……」






…







…






ゴンドラの中、きちんと膝を揃えた足の上で

ぎゅーって握りしめられた指先






「どう…しても…？」








…







…






裕「出来れば…」







「………」






裕「でも…」







裕「どんな答えでも….俺の気持ちは変わらないけど…」







「え？」







裕「変わらないよ…」







「……裕太…さ…ん…」






裕「Aちゃん？」





俺を見て…

君の瞳を見て、きちんと話したい

ちゃんと伝えたい






「裕太…さん…」






やっと、顔を上げてくれた君



ほら、

君が下を向いてる間にゴンドラは

随分上に来たよ







あと、もう少しで頂上だよ



ここで…

君に想いを伝えたい







雲一つない空の中に…

浮かんだ俺たちのゴンドラ








裕「Aちゃん…、俺さ…」








「……？」







裕「君が…好き」





真っ直ぐ、君を見つめて

ゆっくり….君に囁いた








「…裕太…さん」







裕「好きで、好きでたまらない…」





「………」






裕「会う度…話す程に好きになる…」







俺を見つめてる瞳に、青い空が映り込む




裕「君に好きな人がいても…」






裕「他に想ってる人がいても…」








裕「諦めるつもりはない」






裕「君の一番近くに…いたいんだ…」

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