翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集38〉

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裕太side

部屋に入ってすぐに

君は、俺の財布に気づいた




そりゃそうだ

デカイし、派手だし…









…？



ふわっと笑った君





今日初めて俺に向けられた微笑





思わず、赤面





そして…焦る俺







もともと、2人きりになるのが目的だったのに。


こうなる為に財布、落としたのに。







「はい…」








裕「ありがと」







「玉森さん…耳まで真っ赤…」






「お財布と一緒…」








裕「あ、いや…」


しどろもどろで

いや、財布はピンクだから！なんて返すなんて

とても出来なくて。








受け取ったその指先が触れて

また、赤面








「シャイなんですね…」






「やっぱり…」







やっぱり？





裕「それ…どういう？」







…






…







「頑張ってる感じがしたから…」





頑張って….る？




「撮影の時…」







裕「…？」








「スタッフさんとか…皆んなに声かけて…」








「和やかなムードにしようと…」








「頑張ってる気がしたから…」







裕「……」








「無理しなくていいのに…」






…？






「玉森さんは…玉森さんでいいのに…」







「シャイなままでいいのに…」






裕「Aちゃん…」







…






…








…







「アイドルでいる為には…」





「頑張らなきゃいけないんですね…」






「自分のありのままじゃ…ダメなんですね」








裕「……？」





何？

どうしたの？








「みんな、そうなんですか？

そうじゃなきゃ、いけないんですか？」








急に…そんな事に拘るなんて

何か、俺したかな？









「藤ヶ谷さんとかも…そうなんですか？」




へ？


ガヤ？




なんで…ガヤ？







「彼も…やっぱり無理してるんですか？」

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