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紗々 12〈明日移行します〉 ページ50

太輔side


その日、俺が選んだのは
恵比寿ガーデンプレイスの上層階にある
おでん屋さん

景色は悪くなるけど一応、個室はあるし
何より気取らない感じがいいかなと思った

彼女の職場も近い



エレベーター降りたトコのエントランスで待ち合わせ、早めに行って待っててあげたい

そんな思惑は、撮影が押すというありふれた理由で
30分の遅刻を余儀なくされた




ランチ時、エレベーター待ちの長い列
小さくなっていくエレベーターからの景色を
見る余裕もない

やっぱり、芸能人なんてこんなもの、そう
彼女は思うに違いない

やっと、約束をとりつけたのに…




最悪



彼女…待っててくれるだろうか



もしかしたら、もう仕事に戻ってしまったかも
知れない…短い昼休みなんだし…





エントランスには、景色を眺める人が数人いた

でも
彼女の姿はない




やっぱり…帰っちゃったのかな





そう
思った時だった


エントランスの中央に鎮座した大きな花器の
向こう側から彼女が姿を現した






太「A…さ…ん」






彼女は、俺に気づく事なく
花器に生けられた花を見入っていた




綺麗…とか

可愛い…とか

独り言を言いながら




俺にも、他の人にも気づく事なく…






太「Aさん?」




やっと気づいた君は、恥ずかしそうに笑った



「いつから、見てたんですか?」そう言って。


試しに、30分前からだよ
って言っても、信じちゃいそうだった
それくらい、君は花に見入ってた





「お花…大好きなんです…」

君の好きな物が、ひとつわかった瞬間



それから、二人でおでん屋さんへ




「和食で、良かった」

君の好きな物、和食





「個室で、良かった…」



君の苦手な物…高いトコ






そうやって
俺は、君との距離を少しずつ少しずつ縮めて行った

君の好きな物を知り、
君の苦手な事を覚えて

君への気持ちが、冷やかしや遊びじゃない、
って事を誠心誠意伝えて行った




でも、君はなかなかある一線を越えようとは
しなかった


一緒に食事をする男友達、それ以上の関係には
なろうとしなかった



他に好きな人がいる訳じゃないのに







その理由?

それは、彼女がその歳になるまで
男の人を知らなかったから…





だから…

彼女は、なかなか"うん"と言わなかった




俺が、そんな事関係ない、っていくら言っても
頑として俺を受け入れなかった






やだ





絶対いや


その言葉が、繰り返されるだけだった

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設定タグ:キスマイ , 玉森、北山 , 藤ヶ谷   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:トウコ | 作成日時:2018年1月1日 18時

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