翌日 6 ページ48
裕太side
廊下に出ようとして
足を止めた。
話し声が
しんと静まり返って
微かに動いたドア
誰？
A？
…
…
チラッと
廊下側に見えた影
背の高い影
…？
あれは、Aじゃない。
あれって…
太兄？
太兄じゃなかった？
…
…
嘘だろ？
閉めたドアの前に立ち尽くして
今、見た光景を思い出す
黒い影
背の高い影
そして
さっき聞こえたあの話し声
あれは
やっぱり、太兄？
…
…
太兄が、Aの部屋にいるって事？
こんな夜中に？
二人きりで？
それって…
おかしいだろ？
…
…
そうと分かると
もう、いてもたってもいられなかった。
じっとなんてしてらんなかった。
そっと
音を立てないようにAの部屋の前まで
足を忍ばせる
太兄に、気づかれないように
そっと…
ゆっくり…
一歩、一歩、
足を進めて行く
一旦、静まり返ったAの部屋の前
あと、一歩…の所で
足がすくんだ。
『あ…』
『ん…ッ…』
『ッ…』
部屋から漏れてくる声…
ちいさな、小鳥みたいな
鳴き声。
小鳥が、おおきな鳥に捕まって
そして
その身体を押さえつけられ…
啄まれているような
可愛い鳴き声…
間違いなくAの鳴き声…
Aが
おおきな鳥、太兄に愛されているんだ、と
分かる声…
可愛い鳴き声に紛れて
時折、聞こえる太兄のくぐもった声
そして
それは次第に、苦しげな吐息に変わって行く
目に浮かぶ
二人の絡まる腕と身体
ゆれる身体
繰り返される口づけ
そして
繋がるアソコ
二人は、愛し合ってる…
確かに
今、ここで
間違いなく愛し合ってる…
兄妹のはずなのに…
血は繋がってないとしても
俺たちは、
兄妹のはずなのに…
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作者名：トウコ
| 作成日時：2017年9月14日 6時
