俺の彼女 ＊短いお話集＊ 29

横恋慕 10 ページ10

☆彼女side

やっと…

テーブルについた藤ヶ谷さん。








太「座ったら？」





部屋に入って随分経つのに…

ずっと立ち話…







太「何か…頼もう…、何が…いい？」







キラキラ街灯りが光る窓ガラスを背に

二人並んでグラスを合わせる…








太「今日は…ありがとう…

来てくれて…すげ、嬉しかった…」






太「なんか、本題の方が先になっちゃったな」






照れ臭そうに、くしゃと笑った藤ヶ谷さん






太「君の事になると…

自分を上手くコントロール出来ないわ…」






…






…






注文した飲み物が届き

二人、グラスを合わせる…







太「乾杯…」






「…乾……杯…(笑)…」






満面の…子どもみたいな笑顔…

時々…メンバーの皆といるときにだけ

見せる安心仕切った笑顔…







…







…







「あの、藤ヶ谷さん…これ…」






藤ヶ谷さんの誕生日プレゼントにと

手作りしたジャケット…




ほんとは、誕生日プレゼントなんて

考えてなかったけど…





今日…

多分…ご馳走になるだろうと

用意したプレゼント。







グレーをベースに

シックな色のチェックを合わせたジャケット。


ライブの衣装を

凄く気に入ってくれたから、それの…

色ちがい…









太「マジで！？」






太「やばッ！」






目の色を変えて、喜んでくれる藤ヶ谷さん。


太「俺、欲しかったんだよー」






太「超嬉しんだけど!!」






早速、立ち上がって

上着を肩にかけて、窓ガラスに写る自分を

見始めた藤ヶ谷さん









太「最高じゃん♪」







「喜んで頂けて嬉しいです…」







太「大事にする…」







太「大事に…」








藤ヶ谷…さん…








「良かった…」







太「あれ…？でも…」






「……？」









太「ここ……」







え？

何………？






太「ねぇ……」






どこか、ほつれてる？



それとも…


何か……









太「ねぇ…ほら、ここ…」





藤ヶ谷さんが、指差したのは

ジャケットの襟の辺り…






「……どこ…ですか…」







太「ここ…」






藤ヶ谷さんの腕に肩を抱かれて

なだれ込むように…

その胸に引き込まれた私の身体…








「…！？」







「藤ヶ谷さん！？」








「何…！？」







太「動かないで…」







「！？」






太「ちょっとでいいから…」






太「お願い…」







太「俺の腕の中にいて…」

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