Brother 君は僕らの愛しい妹。

ケガ ページ46

裕太side



Aが…好きな人を選ぶまでは

誰も抜け駆けしないこと…



それが…

俺たち三人が決めたルール…






誰を選ぶ？


Aは、誰を選ぶ？





なんか…

圧倒的に…太兄が有利な気がするけど。




三人の中で、一番モテるのは太兄だ…。


ルックスは、勿論…

何より優しい…


女の子の気持ちを…掌で転がすように

惹き付けて離さない。





Aも…

太兄に…一番気持ちを許してるしな…



朝だって、

俺じゃ起きないくせに…

太兄だと、すぐに起きるからな。






でも…


絶対…嫌だ…





絶対…二人には渡したくない…



Aは、俺のもの…。







…






…







Aを、手に入れる為なら

俺は…手段を選ばない…





どんなに汚い手を使ってでも

俺だけのものにしてやる…







…







…








「大丈夫、裕太？」





「痛む？」





Aの白くて細い指が、スルスルと

俺の右手首に包帯を巻いていく。






父さんは、軽い捻挫だから

冷やしとけば治る、そう言って出勤して行った









真夜中に…寝ぼけてベットから落ちて…

落ち方が悪かったせいか

捻挫したのは、右手首…







「湿布貼っとこうね…」





その…器用な指先に思わず見とれる…






「…どう？」








裕「あ、凄くいい…気持ちいい…」





言ってから…赤面した俺






「裕太？」








太「お前…今、変な事、考えただろ？」





「……？」

キョトンとして…俺と太兄の顔を見比べてる

A…








「…何…？どうしたの？」

頭をブンブン振ってる…








裕「何でもないッ…！」






太「あのね…A…(笑)…」







「何…何？太兄…？」







裕「だから―何でもないッ…！！」





太「あぶねーな、裕太は…

A側にいっちゃダメだよ…(笑)」






「でも太兄…裕太…不便だよね、色々…」





太「大丈夫、俺らが面倒見るから…

Aは何にもしなくていいよ…」









でも…Aは俺に優しかった。



朝食は、スプーンを使えば辛うじて

左手でも大丈夫だったけど

Aに゛食べさせてよ゛ねだると…

口元に運んでくれた。






Aが掬ったチャーハンは格別旨い…

それを、満面の笑顔で頬張る…



それを恨めしそうに見つめる宏兄と

敢えて平静を装う太兄。





すげ…優越感…


まるで…俺だけのAになったような

錯覚を起こす程に……。

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