Brother 君は僕らの愛しい妹。

引っ掛かかるコト ページ45

太輔side

結局…あの日は、

最後までイけなかった。



あの綺麗な身体を

満足するまで…愛する事は出来なかった。






何故なら

夜中に予定外に父さんが帰って来たから。


ほんとは

泊まり､だったはずなのに。







玄関の二重ロックをカチャカチャ言わす音で

Aが起きそうになって

慌てて…ベットから飛び降りて…

Aの部屋を抜け出し…

なに食わぬ顔して、ロックを外した。









太「おかえり…」







『あぁ…ただ今…

起こしてすまないな…』







太「…いや…起きてたから…大丈夫…」






太「今日は、泊まりじゃなかったの？

てか、連絡してよ…皆寝てたら、鍵開かないよ」








『……連絡…？』







『Aに…連絡したんだけど…

聞いてないのか？』







Aに連絡…？



太「いや…聞いてない…」







一つ…ため息をついた父さん…





『今日は、遅くなるけど、必ず帰るから

鍵を開けといて…って…７時位に連絡したよ』









太「………」








『聞いてなかった？』








太「うん…」




二重ロックがしてあったって事は、

裕太や宏兄も知らなかったはずだ。








『忘れちゃったかな？』





リビングのソファに鞄を下ろした父さん。






…






…







Aは、一見、幼くて頼りなさそうに

見えるけど…実はしっかり者だ。





長い間…

入退院を繰り返すおかあさんと

医師で不在がちの父親の元で育ったから

寧ろ同じ歳の子より格段にしっかりしてる…






それに

頭もいい…


成績だって…学年で１、２位を争う位。




そんなAが、

うっかりそんな事…忘れるかな…






下手したら…

父さん…家に入れずに…病院にトンボ帰りだ。








でも…それから

時々…そんな事があった。




大事な郵便物を棄ててしまったり…


連絡をし忘れたり…




父さんは、

そんなこともあるさ、と

特に気にしてない様子だったけど…









俺は

そんな事を時々…繰り返すAが

なんとなく、引っ掛かってた。





そう、あの部屋に

あんな目立つ場所に…未だに

前のおとうさんが写った写真を

飾ってる…そんなAが…。





そんなに無神経な子じゃないはずなのに


俺たちの父さんの気持ちを…

考えないんだろうか…



って…


いつも…心のどこかで引っ掛かってた。

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