雪のように白く…冷たく…儚く。&T 4

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彼女side

院長「家業を継ぐ…医者が欲しかっただけで
愛なんて…欠片もなかった…」







院長「他に…好きな人がいたのかも知れない…
でも…病院を継ぐ人間が必要だったんだよ、だから…僕と結婚した。」








院長「互いに…愛のない夫婦…」





院長「だから…」







院長「僕が…彼女…
滝沢君のお母さんに惹かれるのに
時間は、かからなかった…」







院長「そう…滝沢君が、君に惹かれるのと
一緒で……ね…」





院長「君を初めて…外来で見た時…
彼女が帰って来たのかと思った」







院長「背格好だけじゃない…
少し…淋しそうにうつ向く…横顔も…」








院長「僕が…大好きだった彼女に
そっくりだった…」








院長「彼女が、残した服を君が着ると…」








院長「胸が苦しくなるくらいに…」








「院長…先生…」









院長「でも結局…僕は、彼女を救えなかった…」








院長「何もしてあげられなかった…」








院長「だから…」









院長「君の力になりたい…」






…






…







…









院長「そろそろ帰った方がいい…」








「……」








院長「滝沢君が、帰ってくる…」








「……」








院長「彼は…」






院長「今も、君を探してる…
休みの度に…」








院長「君を愛してるから…」









「…先生…」







院長「でも…大丈夫…」








院長「彼には…僕がついてるから…」









院長「彼の母親は救えなかったが…」







院長「彼の事は、必ず幸せにしてやるから…」








「…先生…」







院長「早く…帰りなさい…」









院長「君には…」







院長「君の幸せがある…」








…







…







院長「君は…」







院長「そのお腹の赤ちゃんの父親を
愛してるんだろう？」








「……」









院長「どんなに辛い目にあっても
守り抜くんだろ？」









院長「その…命を…」








「……」







院長「愛する人の子どもを…」








…





…






…








「はい…」




院長「相手は…知ってるのかい？」








院長「赤ちゃんの事を…」








「………」









院長「そうか…」






「彼には…言えません…」









院長「……」








「言えない…」









「彼が…大好きだから…」





「彼の未来を壊したくないから…」





「彼には…幸せでいて欲しいから…」

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