雪のように白く…冷たく…儚く。&T 4

177 ページ29

彼女side



『先生、何だいそんな物騒な物！？』








滝沢「渡さないッ！」








「先生…お願いやめて…」









滝沢「俺の所に戻って来い！」









『だから…ダメだって…』








滝沢「言うこと聞けないなら…」







キラキラ


お日様の光に当たったナイフ…





滝沢「お前を…」









「先生…やめて…ッ！」









滝沢「お前なんか…」







滝沢「俺からAを奪おうとするお前なんか…」





おかあさんの腕を掴んだ先生…


まるで


鬼のような形相の先生







…






…









『何すんだいッ！』






『離して！！！』








『離せーッ！』








『助けてーッ！』





その叫び声を聞き付けて




やっと

玄関に出てきたおとうさん…







でも


滝沢先生のナイフは…


もう

おかあさんの首もとに

翳されてる…









滝沢「お前なんかいらない…」








滝沢「俺からAを奪う奴なんていらない…」








滝沢「Aは俺のもの…」






滝沢「Aは俺のものッ！」







おかあさんに向かって


大きく振り上げられたナイフ…







日の光を帯びて


一段と明るく光ったナイフが


一気に降り下ろされる









滝沢「死…ね…ッ！！」









…！！







…！！！









…！！！！







『きゃーーッ！！！』








…





…






…





…






「…ッ……」







「おかあさん…大丈夫！？」








「お…か…さ……ん…」








目の前には


血まみれのナイフを持ったまま

立ち尽くす滝沢先生…








…






…






…






滝沢先生…





どうして…？







どうして…

こんな事…









滝沢「何で…」









…






…







…







『Aちゃん！？』








『Aちゃん！！』







立ち尽くす滝沢先生の顔が


二重に見える…







どうして…







…？








『Aちゃん！！』







おかあさんは

ケガはなかったの？





大丈夫だったの？






おとうさんも…


大丈夫？









「救急車を！！！」







救急車を？



どうして？


誰も…ケガしてない…




おとうさんも



おかあさんも…



滝沢先生も…







誰が…


ケガしたの？





それに


私を…抱き上げたこの腕は…


誰？


懐かしくて温かい腕





「救急車を！！」





「早くッ！」






「救急車を呼んで！！！」

178→←176

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す