俺の彼女＊短いお話集＊17

貴女の胸に抱かれて F 67 ページ15

太輔side


今日は


久しぶりに早く終わった…



面会時間は…一時間はある…






明日から…２回目の治療が

始まるA…






そんなAに何を言えばいいんだろう…




あの日以来…


何となく…よそよそしくて…


互いの…


心の琴線に触れないように…


ただ

表面的な話ばかり…






もっと


Aの苦しみを聞いてやらなきゃ…って


思うのに




俺なんかに

分かってやれるんだろうか…とか

話してくれるんだろうか…とか


そんなんばかり気にしてる…








長瀬「藤ヶ谷君…」






エレベーターを出たタイミングで


捕まれた腕…







長瀬…先生…









長瀬「ちょっと…いいかな…？」






先生は

いつか俺にAの話をしてくれた


相談室に


俺を呼び入れた…









長瀬「治療の事…聞いてる？」






太「…？」








長瀬「話してないのか…」







太…何を…？」









長瀬「毎日…何の話…してんの？」






長瀬「二人は…」









「……？」








長瀬「彼女の…病気の話してんの？」









長瀬「君の…彼女への想い…伝えてんの？」







太「………！」








長瀬「お互いの未来の事…話してんの？」








太「………」








長瀬「やっぱり…君は子どもだな…」







太「……？」







長瀬「目の前の…大事な事から逃げてる…」







太「………」









長瀬「彼女の病気の事…


彼女の…心の事…


自分の…



二人のこれからの事…」









長瀬「全てから逃げて…」







長瀬「彼女に、全部背負わせてる…」







太「そんな事…ない…！」









長瀬「ほんとに？」









長瀬「ほんとにそうなら…」







長瀬「彼女は…一人で泣いたりしない…」








太「…？」







太「どうゆう…事…？」








Aが泣いてる…って

どうゆう…事…？









長瀬「泣いてるんだよ…彼女は…」







長瀬「夜中に…一人で…」







長瀬「どうしてだと思う…？」









太「…？」







長瀬「彼女は…お前の足枷になってると

思ってるんだよ…」








長瀬「お前に迷惑かけてる…って…

お前に負担かけてる…って…」







長瀬「だから…」







長瀬「それでも…お前が好きだから…

お前の側にいたいから…無理して

笑顔…作って…」








長瀬「お前を待ってるんだぞ…」









長瀬「泣きたいのを我慢して…」

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