俺の彼女＊短いお話集＊8

粉雪T 16 ページ15

「…ん…」








「……」








裕「目が覚めた？」









「…ん…」








ベットの中…



寄り添う…二人…







裕「身体…冷えてない？」








布団かけてたけど…大丈夫かな







「…ん…」








裕「良く…寝てたね…」







いつも

俺より早く起きて…

朝食つくってるのに…









「…ん…」








「何だか…久し振り…こんなに寝たの…」









裕「ほんとだね…」









「夢を…見たの…」








裕「夢？」








「ん…」







「…夢…なの…」








裕「夢？」








「全部…夢…」







裕「…」








「病気なんて…夢…だったの…」





「悪い…夢…」








「今…ね…」







「悪い夢…から覚めたの…」









「そう…だよね？」








「夢…だよね…」








…







…








裕「………」








…







…








…









「そんな訳…ないか…」









「…そんな訳ない…」









「夢…なんかじゃないよね…」









切なく笑う君…



そして


俺の頬を包む指先…









裕「A…」









…







…








…








ふわっ…と笑ったA…








…？









「私…」







「頑張る…」







「病気なんかに負けない…」








「お腹の赤ちゃんの為にも…」








「戦う…」









裕「…」








「戦う…ね…」








「戦って…絶対…勝って見せる…」









「そして…いつか


全部…



夢…だったと…



悪い夢…だった…って…





裕太と


赤ちゃんと笑いたい…」








…





…







Aが


母親になった瞬間だったと思う…







優しくて


強い…母親…に…。









…







…






それから



Aは…


治療に専念した…




どんな辛い…治療も…



どんなに苦しい検査も…



決して…


弱音を吐くことはなかった…






側で見ている俺の方が…

辛いくらいだったのに…。






赤ちゃんの為…



裕太の為…って…


笑顔を作って…ひたすら耐えてた…。







その成果が出て…


無事に…凪(なぎ)を出産し、




更には…




骨髄移植と言う完治に向けた


微かな希望が生まれて






明日は…



初めて…三人で過ごす






クリスマス…。





そんな日に…



イエス様はプレゼントじゃなく…




彼女に…



悲しい十字架を背負わせたんだ…。

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