あいすくりーむ 90 ページ50
逢いに行けば…
俺の声を聞いてくれれば、何かが変わる
そう思ってた
そう信じて
Aに逢いに来た
でも…
何も変わらなかった
ガラス越し、静かに眠るA
結局、これがマネージャーが言うことだ
今、お前が言っても何も変わらない
悪戯にマスコミを刺激するだけだ
看護師さんに無理を言って、
感染予防のガウン、マスクをつけて、少しの時間だけ
器械の並ぶ病室に入る
あの日と同じ、血の気のない白い顔
そして、いくつもの細い管に繋がったその身体
裕「A…」
耳元で囁いた
裕「A、目を覚まして…」
俺、来たよ
ねぇ、裕太だよ
起きて…
いつもお寝坊だったよね、だから…
まだ、目が覚めないだけ
そろそろ起きるよね
管の隙間をぬって….白い頬に触れた
あの日
不安そうだったあの日
Aを独りぼっちにしたりしなければ
こんなことにならなかった
寂しそうだった横顔が蘇る
大切な人
大好きな人なのに
ごめん
ゆっくり肌に触れた
冷たい肌
まるで人形みたいだ
目を覚ましてよ
ねぇ
指先から熱と、想いを込める
俺の命を削ってもいいから
どうか、目を覚まして…
.
.
.
『あの、』
看護師さんに声を掛けられて、我に帰る
裕「ごめんなさい、触っちゃダメでしたね」
『今…こういう時なので』
裕「すいません」
『でも…』
?
『何だか、頬に赤みが…』
え?
『頬に赤みがさした気がします…』
?
本当に?
もう一度、Aの顔を見つめた
あ…
看護師さんと顔を見合わせた
『ですよね?』
裕「はい、確かに」
真っ白だった陶器のような肌に薄っすら赤み
分かるの、A
俺の声、俺の指先が分かったの?
裕「もう一度だけ、いいですか?」
念のため、アルコールで消毒した
『見なかったことに、します、』
裕「ありがとうございます」
そして、指先を伸ばした
.
.
来たよ、A
俺、逢いに来たよ
.
.
A、目を覚まして
俺を見てよ
もう二度と、一人になんてしない
ずっと、側にいるから
だから、目を覚まして
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作者名:トウコ | 作成日時:2020年6月7日 9時