幻夢（仮題）短編集 3 (ページ25)

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あいすくりーむ　65 ページ25

裕「あいすくりーむ、食べた？」

真っ直ぐ、前を見たまま裕太が聞いた

「…ん、、、」

口を開くと泣いてしまいそうで、喉から声を
絞り出した

裕「そっか…美味しかった？」

私が、泣き出さないようにさり気ない話をしてくれる裕太の気持ちが伝わって切ない

「……ッ…」

裕「？」

「…美味し…く、、、な、、、」

裕「ん？」

「….こぼして……っ、味なんて…っ、く、ん…」

何ごともなかったかのように

話しかけてくれる裕太の優しさが、逆に切なくて

悲しくて

胸が詰まって言葉が出ない

裕「あ、確かに…服、汚したね…笑」

無理してふにゃん、と笑った顔は、悲しそう

「…ごめん…なさい…」

裕「いいよ、いい…」

裕「一緒に、買いに行こ？俺と…」

"俺と"その言葉一つに、裕太の想いの全てが
込もっている気がした

あのSNS見たんだよね？

藤ヶ谷さんといたお店、分かってるんだよね？

私が…逃げ出したことも？

私への疑いも。

.

.

.

気まずい空気を払拭するように、裕太が聞いた

裕「何か、買ったの？」

あ

店に忘れて来たと思ってたのに
持ってきたんだ

袋の中には、

藤ヶ谷さんに選んで貰った裕太好みの下着

裕太に喜んで欲しい

ただ、その一心で選んだ下着

こんな事になるなんて

.

.

.

裕「とにかく…ウチに帰ろう」

裕「ね？」

優しく微笑んだ裕太

いつも私を愛してくれる裕太に

私は…

何をどこまで話せばいいのだろう

.

.

全てを話したら…

貴方を失い

貴方と藤ヶ谷さんの関係も壊してしまうんだろうか

私は

どうすればいい？