あいすくりーむ 60 ページ20
涙をごしごし拭いて
下を見たまま、足早に店を出た
店内が、騒ついてる気がしたけど、顔を上げる
勇気はなかった
泣いてのが、バレたら
藤ヶ谷さんに迷惑をかけてしまう、そう思ったから。
大通りに出て、一度だけ後ろを振り向いたけど
藤ヶ谷さんはいなかった
.
.
裕太に逢いたい
.
.
電源を入れると、数え切れない程の着信とLINE
裕太…
ずっと連絡くれてたんだ
裕太の怒った顔、心配した顔が浮かんで
涙が、また溢れて来た
ごめんなさい…
裕太…ごめんね
言葉にすると…ますます悲しくなって
涙も鼻水も止まらなくなって…
前が見えなくて…
街路樹が、真っ白に曇ってきた
これは…夢なのかも
きっと、横を向くと、隣には裕太の寝顔があるはず
髪の毛が、バズーカみたいに暴れた
ひどい寝癖の裕太が、隣にいるはず…
.
.
.
でも
…夢じゃない、のか
ここは、街中で
私は、一人で
.
.
「…ッ、」
ゴシゴシ唇を擦った
いつもと違う香りと、いつもと違う後味
違う
これは、裕太のじゃない
ゴシゴシ
ゴシゴシ
いくら擦っても
唇には、違う匂いと感覚
これは…
藤ヶ谷さんのキスだ
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作者名:トウコ | 作成日時:2020年6月7日 9時