哀しいkiss 5 ＊最終章＊

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彼女side

あの日と同じ…だ…





「…裕…太…」






うっすらと額に滲んだ汗、くしゃと乱れた髪

肩の横についた筋肉質の腕


そして
真っ直ぐを私を見つめる綺麗な瞳







凄く綺麗で、凄く寂しそうな…切ない瞳






今、あの時と同じように背中に腕を回せば
今度は、本当にもう二度と太輔の所には戻れない






戻れない…









裕「決めて…A…」






裕太…





裕「今、この瞬間…俺か、ガヤか…」







裕「どっちを選ぶのか、誰と生きて行くのか…」







裕「決めて…」







さっきまでの不安でいっぱいの裕太から
オトコの裕太に変わってる






覚悟を決めたオトコの顔







私は…






.







.







.







私は…

どっちを選べばいいのだろう




太輔を愛してる、そう思っていた
イマデモスキ、確かにそう思った





優しい太輔
いつもいつも大切にしてくれた太輔
誰よりも、私を想ってくれた








裕「ガヤ？」





太輔を選べば…
私は、もうこの腕の中にはいられない



裕太からの抱擁を受けることは出来ないんだ






それでもいいの？





裕「それとも、俺？」






.







.







裕「俺は…」






裕「守ってほしいなんて思ってない…」





「…え、…」







裕「同情なら…いらない…」






「…裕太…」







裕「Aの愛が欲しいだけ…」








裕「俺を愛して欲しいだけ…」








「……」







裕「ガヤを想ってるなら…いらない…」






裕「ガヤを想ってるAなら…」






裕「抱きたくない…」

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