哀しいkiss 4

110 ページ10

裕太side

もしかして…




裕「A？」






「…太輔は…？」


怯えたように俺を見つめた瞳




「…どうして、私…ここに？」





「…なんで…玉森さん…？」




"玉森さん"って？

もしかして…
A…忘れてるの、俺との事




俺との半年間を忘れてるの？






「…！」




「助けて…」




？






「助けてくれたんですか？」




え、？
混乱し過ぎて、言われてる意味さえ分からなくなってる





裕「？」






「太輔から…」




！



「私…」







「太輔に首を…絞…められて…」






「苦しくて…」





「…もう、ダメかも…って…」







.






.







「玉森さんが、助けてくれたんですか？」






.







.








裕「俺は…」





裕「俺は…その…」






.






.







Aは、本当に俺との事覚えてないの？





「玉森さん、最近店に来てくれないから…
どうしたのかな、って思ってたんですよ」




裕「え…」





「前は良く、私の配達手伝ってくれてたのに…」





「玉森さんは、いつも私を助けてくれるんですね…」



ふわっと笑った瞳から、ポロポロ涙がこぼれ落ちた





A？




「どうしてかな…ッ」



「何で、太輔…あんな事…ッ」



白い手が口元を押える




「あんな…こと…ッ」



Aがガヤにされた事が、頭の中で
リフレインされる


きっと酷いことをされたんだろう
辱…めを受けたんだろう



そして…殺…そうと…






「……どうし……て…」





君は、何も覚えてないんだね

ガヤを裏切ったこと、俺との半年間…








ガヤは、その事に苦しみ、君を俺に託したのに…

俺に君の幸せを託したのに









「…でも…」



「帰らなきゃ…」




え？


「太輔が、心配だから…」



？



「きっと太輔、傷ついてる…」







「こんな事したのだって、訳があるはず…」






.






.






「太輔の所に戻らなきゃ…」

111→←109

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す