哀しいkiss 4

141 ページ39

裕太side


「大丈夫！？」





「大丈夫、玉森さん…！？」






裕「テッシュ、テッシュ！」







「あ、はい！」




「玉森さん、押さえて！」







「押さえて、これで…！」





裕「ごびばこ、ごびばこ…」




「はい、ゴミ箱」



裕「でっじゅ、でっじゅ、！」






「ここに…テッシュ…」






裕「ぐるじ…」





「ごめんなさい…」






あたふた

あたふた



さっきまでのムードなんて、遥か遠ーく…




「大丈夫ですか、玉森さん…」




でも、お風呂覗いたこと怒られずに済んだ

かな…








裕「なんとか…」






「もう、止まりました？」




裕「ん、」



「…よく出るんですか？」






裕「へ？」




「…えと、鼻血…」





裕「いや、初めて…」

そこはきっぱり言った

初めてだもん、鼻血なんて…
しかも、好きな人の前で








あ、いや映画の撮影で一回あったかも

でもそんな事、もうどうでもいいわ







「覗き見なんてするからです！」




裕「え？」




「玉森さん、お風呂覗いてたもん」




"もん"って可愛い過ぎるんけど






「だからです、笑」







裕「ごめん…」




「悪いんだー」





裕「ごめん、って…」





「もう、しないでね…」




んー
約束は出来ないけども







「？」




裕「髪、乾かそ？」





「…あ、忘れてた…笑」






裕「鼻血のせいか…」







「…笑」








裕「ここ、来て…」



やっと予定通りの展開




朝、Aの髪を乾かした定位置に座り、
Aを呼ぶ







裕「おいで…」



Aの髪もなかなか乾いてるし、
なんか色々ありすぎて、キメらんないけど


でも






前みたいにAの髪を乾かしてあげたい






裕「来て…」






「…ん、」






俺の足の間にすっぽりはまったA



さっきAがしてくれたみたいに
タオルで髪の水分を拭き取っていく


指先に絡まる髪が柔らかくて、気持ちいい

サラサラ、指の間をすり抜けていく








裕「気持ちい、」





「…玉森さんが？」






裕「ん、笑」






「私も、気持ちいい…」






「ふふ、」





少し俯いてふわりと笑ったA



良かった、怒られなくて…





裕「ちゃんと乾かさないとね、」


ドライヤーのスイッチを入れた





弱めで、優しく…

サラサラ、サラサラ髪に温風を当ててく




戻ってきた幸せな時間


Aと二人の 幸せな時間が、戻ってきた

142→←140

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す