哀しいkiss 4

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裕太side

裕「いい匂いがする…」




「…え？」

腕の中から見上げたA





裕「夕飯何？」






「…あ、…笑」





裕「もしかして…」



笑




裕「炒飯？」

覚えてたの？俺の好きなもの






「…ん、」






「…うっすら、覚えてて…」





「何かの番組で…好き、って言ってたような気がして…」






そか、そっちの記憶か

でも、嬉しい…






「好き？」




裕「ん、」



大好き、大好物だよ

Aと一緒くらい、あ、いや……
やっぱりAの方が好き




笑






「玉森さん？」



不思議そうな顔してAが見上げてる








裕「あ、いや、その…」






「ふふ…」




「玉森さんって面白い…」






裕「あーバカにしたな、笑」





「…バカには…してません、笑」






裕「したじゃん！」





「してないです、笑」




クスクス笑う君が愛しくて、可愛いくて
二人してバカやってた






こんな時間は、
暮らしてた半年の間にもなかったかも知れない





何もかも、君が忘れてるからこその笑顔…か

全てを思い出したら、消えてしまう笑顔、か？






「…玉森さん？」







今は…それも忘れよう



裕「夕飯食べよ、っか？」






「…？」




裕「お腹ぺこぺこ、笑笑」








「…はい、笑」








それから、俺たちは
リビングのテーブルに二人並んで炒飯を頬張った



記憶を失う前と同じ味
Aの炒飯だ




Aがいなかったのは、僅か数日なのに
懐かしい気持ちになるのはどうしてだろう





そして、いなかった間に
何倍にも膨れ上がってる君への想いをどう伝えたら
いいんだろう







何も知らずに俺の隣にいて、小さな口に
炒飯を頬張る君を、俺はどうやって守っていけば
いいんだろう

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