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太輔side
ガチャ
？
鍵の音がして、振り向くと
玄関のドアの前……そこには愛しい人の姿
俺を見るなり、瞳が揺れた
「どうしたの、太輔！？」
「声…外まで聞こえてる…ッ！？」
！
！！
「太輔！？」
走り寄って、細い身体を抱きしめると
指先からコンビニの袋が滑り落ちた
太「居なくなったかと思った…」
太「また、俺を独りぼっちにして…」
耳元で、戸惑いがちな答えが返ってくる
「…ちが、冷蔵庫に何もなかったから…」
太「行かないで…」
「…え、」
太「どこにも行かないで…」
力いっぱい、ありったけの力を込めてその身体を
抱きしめた
その存在、腕の中に確かにAがいると
感じたくて…強く、強く…
太「A…！」
「…太…ッ…」
太「A！！」
どこにも行かないで…
俺の所にいて…
誰にも渡さない
どこにも行かさない
ずっと
ずっと…俺の腕の中にいて
！
！！
「…くる……し、…」
君の声は
「…太…ッ………」
聞こえてるのに
「……ッ、…」
聞こえない
「太……輔………ッ、…」
「…太……っ…」
！
！！
「……ン……はぁ…」
腕の中の身体が、一気に脱力し…その重みが
一度に俺の腕に圧しかかる
A？
！
ゆらり、弧を描くようにして倒れた身体は
再び、俺の腕へ
「…太…ッ……」
吐息と一緒に俺の名前を呼び、そして硬く目を閉じたA
.
.
.
やっと、戻ってきたね
A
俺の所に…
待ってたよ、ずっと
あの日、あのドアから君が出て行った日から
ずっと待ってた
君が…こうして
俺の元に戻ってくる日を
待ってたよ
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作者名：トウコ
| 作成日時：2019年7月5日 4時
