哀しいkiss 3 (ページ42)

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太輔side

太「…Aも…」

「…？」

Aから、薬のチューブを取り上げて
人差し指に付けた薬を、首筋に塗りつける

「…え？」

太「何だろうね、ここ…小ちゃな傷がある…」

「…本当？」

「気づかなかった…」

太「俺が、噛んだかな…笑」

「…そんな訳な……い…？」

太「お互い様、笑」

ふにゃん、と笑ったA
やっと落ち着いてきたかな？

太「リビング行こっか、それともシャワー？」

「シャワーなら、一人で出来るよ？」

太「いや、でも…ね、そだ…お風呂にしよ？」

「お風呂？こんな時間に？」

太「いいじゃん、自宅スパ…笑」

「…笑」

太「ゆっくり充電したい…Aと…」

「…いいよ、笑」

「用意してくるね…」

寝室を出るAの後ろ姿を見送る

大丈夫だろうか、思い出さないだろうか
全てを

Aは、忘れているこの半年の記憶を
呼び起こしたりしないだろうか

「太輔、お湯入ったよ…」

太「一緒に入ろ？」

「……うーん、」

「先に身体洗いたい…ダメ？」

本当に、前のまんまだね
一緒のお風呂ダメなんだね

太「いいよ…時間差にする、笑」

Aのそういう所、大好きだし

「ありがとう…」

ちゃんと、お礼言う所も好き

何から何まで、君が好き

大好きだから、君を失いたくない

その為に出来ることは２つ

１つは、俺が彼女の過去を忘れること
彼女が俺を裏切った過去を忘れ、許すこと

そして、もう１つは
彼女に過去を思い出させないこと
彼女が俺を裏切った過去を思い出させないこと

ただ

それだけだ