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Aside
太輔が、出て行って
ドアが閉まるとその場にへたり込んだ
ズキズキ、刺すように痛む首筋
でも、涙が溢れたのは、痛みのせいじゃない
先が見えなくなった自分の未来のせい
私は…
これからどうなるんだろう
あの不安定な太輔を一人にしておくなんて
到底出来ない
それは、今だけじゃなく、
これから先ずっと…
別れて半年経っても、全てを受け入れる事が出来ずに、あんな風に倒れてしまう太輔は…
きっとこの先も一人になれば、壊れてしまう
私は…
ずっと太輔の側にいなくてはならないの？
店で怪我をした私を、病院に運び
そして、看病してくれた太輔
優しくて紳士的で…大好きだった
ううん、つい昨日までは
自分は太輔を思い続けていると思っていた
裕太と暮らして、裕太に抱…かれながらも
私はまだ、太輔を愛している、と。
でも…
.
.
涙で滲んで見えない廊下に出て、
フラフラと、立ち上がりそしてバスルームへ
その鏡に映った自分を見て…
言葉を失い、
そして、激しい吐き気に襲われ、嘔吐した
これが…私の身体？
首筋についた無数の紅い傷跡のような華
俺のもの、そう知らしめる為だけにつけられた印
襲ってくる吐き気と、自分自身への嫌悪感
オトコに…太輔につけられた印
.
.
私は…
"もの"じゃない…
熱いシャワーを浴びながら、何度も何度も
その印を擦り続け…洗い流すけど
紅く充血した肌は、消える事なく
益々赤みを帯びて、その姿を見せつける
目の前の鏡に、いるはずのない太輔が写ってる
ーAは俺のもの
ー印は消えないよ
ー一生、消えない
ーずっと、ずっと俺の側にいろ
ー君は、俺のものだ
ぐるぐる回り始めたバスルーム
目の前が、赤と黒でフラッシュしてる
私は…太輔の"もの"
一生、離れられない
ずっと、ずっと…ここから出れない
ずっと
ずっと
目の前が暗転して、意識が薄れ
シャワーの音が、遠のいていく
このまま、消えてしまいたい
ここで
貴方を想って…死…んでしまいたい
もう二度と、貴方に逢えないのなら…
いいよね
裕太？
目を閉じると足に力が入らなくなって崩れた瞬間
後頭部に痛みを感じた
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作者名：トウコ
| 作成日時：2019年7月5日 4時
