哀しいkiss 3 (ページ14)

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太輔side

ぎゅーっ
頬をつねってみるけど…

痛くない

もしかして、これは夢？

もっかい

ぎゅ！

「太輔！何してるの？」

「ダメ、傷になるでしょ？」

夢じゃない

現実だ

だって、ほら掌を握ってくれてる手はあったかい

「太輔ったら…もう」

このくだりだって、今までに何度もあった

嬉しすぎて、幸せ過ぎて
夢みたい、って思うと頬をつねる

「だーめ、っ！」

いつもは幼いAが、お姉さんになる瞬間

太「ふふ…」

思わず、にやける

「ふふ…」

Aも、笑ってる

変わらない

俺たちは、半年前と変わらないんだ

「何か、作るね…」

料理なんて下手く…そだった
俺が作った方が早くて美味かった
でも、付き合い始めてAは練習して
メキメキ腕を上げた

そして、今日も

「はい…」

半年前と同じように、カウンターテーブルに
ホットサンドと、果物が並ぶ

「スープも…身体があったまるよ」

「太輔、冷え性だから…」

笑

太「それは…Aもでしょ？」

「…あ、笑…」

太「一緒に食べよ？ね？」

「……ん、」

太「ほら、隣来て…」

太「早くっ…」

.

.

「太輔…子どもみたい…」

「逢わない間に……あ、……！」

その一言が、
二人の間に半年という空白の時間
離れ離れ、別れていた時間があったことを
突きつける

温まりかけていた二人の関係が、あっという間に
冷たくなっていく

「…ごめ、…」

「ごめんなさい…私…」

太「A…」

「…私は…あの時の私じゃないのに…」

「私は…っ…」

「……貴方の隣にいる資格はない…」

「…ないのに…」

.

.

「ごめん…なさいッ…」