肆-49 ページ49
「どこから話そうかしら…」
最悪の事態になった
なんとこの鬼、私が息絶えるまでの間ご丁寧に身の上話を聞かせてくれるらしい
「そうね…人間の頃の記憶は少ししか残ってないけれど…」
「…」
ありがた迷惑もいい所だ
ただでさえ瀕死の状態だというのに、死ぬまでずっと鬼の話を聞かされるなんて精神的にきつい
どうせ死ぬならそんな事どうでもいいかもしれないけど生憎私はまだ死ぬつもりじゃない
だって、まだ何も成し遂げてないから
「っ…」
どうにかして反撃しなきゃ…そうだ、日輪刀は…
「まだ人間だった頃、私にも愛する人がいたの。でも祝言を上げる直前に、あの方に殺されて…」
いや、駄目だ…視界も真っ暗で、体に力が入らない
まだ意識があるのが自分でも不思議なくらいだ
「一緒に死のうと思ってたのに、私だけ鬼にされたの。鬼になってからもあの方に何度も殺してって頼んだけれど、聞き入れて貰えなくて…」
話も全く入って来ない
遠くの方でくぐもったような声が辛うじて聞こえるくらいで…息も出来ないし、まるで水の中だ
「ちょうどあなたが今感じている絶望と同じような絶望を私は味わっているの…何十年も」
私の頸を締めている手の力がだんだんと強まり、耳の奥から骨の軋む音が聞こえた
「この絶望をもっと色んな人に味わって貰わなきゃ…ねぇ?貴方もそう思わない?」
もう何も感じなくなってきた
あぁ、私…終わるんだ
ここで死んだら…蜜璃さんを悲しませてしまうな
師範や桑島さん、無一郎君に会ったのも、あれが最後になるん…
「Aちゃんから離れなさーーーーい!!」
恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき
「っ?!何よ?!」
突然蜜璃さんの声が聞こえたかと思うと、瞬く間に鬼の体が細切れになった
「ッ…ゴホッゴホッ」
「大丈夫?!Aちゃん!!」
蜜璃さん…無事で良かった…
「うッ、ゴホッ」
鬼の手が頸から離れて何とか気道は確保されたけれど、急に空気が入ってきたことで咳き込みうまく息ができない
体も思い通りに動かせず、近くに落ちている自分の日輪刀すら掴むことができない
「…あら、貴方も目が覚めたの」
「人の未来を勝手に覗いて弄ぶなんて許さないわよ!!酷いわ!!」
「その刀の文字…貴方、柱?それにしては術に気づくのが随分と遅かったのね」
「おっ、お黙りなさいっ!!」
恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋
「Aちゃんの…人の幸せな未来を奪うなんて!!私、絶対に許さないんだから!!」
602人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みやび(プロフ) - ずっとずっと待ってるので大丈夫ですよ!🎀 (4月14日 22時) (レス) @page50 id: 6d224a7bcb (このIDを非表示/違反報告)
みるくここあ(プロフ) - ゆっくりで大丈夫ですよ!更新されたら皆また読みに戻ってきますよ✨✨ (4月12日 1時) (レス) @page50 id: 4db17488dc (このIDを非表示/違反報告)
みやびりじゅ(プロフ) - みやびさん» なかなか更新できておらず申し訳ありません😢読んでくださってありがとうございます! (1月30日 23時) (レス) id: 00121ded6d (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - 久々の投稿ありがとうございます🥰 (1月24日 0時) (レス) @page47 id: a01fa8ae4e (このIDを非表示/違反報告)
愛っち(プロフ) - みやびりじゅさん» 仕方ありませんね💦来年の楽しみに取っておきますね!頑張ってください (11月8日 18時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みやびりじゅ | 作成日時:2023年7月9日 21時