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肆-47 ページ47

暗い部屋の中は無一郎と子どもたちの寝息が微かに聞こえるくらいで、不安を感じてしまうくらいの静寂に包まれている

家の外も風はあまり吹いていないようで、あまりの静けさに耳鳴りがしてきそうだ

もう丑の刻の頃なのにまだ眠りにつけない

なんだか胸騒ぎがしてて…さっきから違和感がある

自分はこうして寝てていいんだろうか

「…」

いや、寝なきゃ…何もすることは無い

人が動き回る時間じゃない、出歩いてたら危険だ

下手したら命の危険が…

「…」

命の危険?…なんでだっけ?

でも、そういえば私って…

『お父さん!!お母さん!!』

「…ッ」

そうだ、夜が危ないのは

…"鬼"が出るから



「A!どこ行くの?」

玄関を飛び出すと、私が居ないことに気づいた無一郎君が追いかけてきた

「A!どうしたの?何かあった?…とにかく家に戻ろう」

勢いよく肩を掴まれて振り向くと、その表情はいつもの落ち着いた彼からは想像もつかないほど焦っているように見えた

「急に飛び出してごめんなさい、でも、鬼が…私…」

私がそう言うと、無一郎君は何かに反応したように顔を強ばらせた

「…鬼なんてどうでもいいでしょ」

いつもより低い声に、息もできなくなるくらいの緊張感で体が硬直した

「…え、っと、」

明るく輝いていた月が雲に隠れて辺りが暗闇に包まれ、そのせいで無一郎君が今どんな表情をしているのかよく分からない

「鬼なんて僕たちには関係ないよ…約束したよね?もう鬼殺隊とは無縁の生活を送ろうって」

「え…?」

「僕は全く関係のない一般人よりもAの方が大事なんだ」

「待って?私たちは、鬼を滅ぼす為に鬼殺隊に…」

「A」

私の肩を掴んでいる無一郎君の指の力が強まる

「…僕たち、子どもを鬼に殺されたんだよ」

「…っ」

悔しさが混じって震える声に、顔が見えなくても、この上なく辛くて苦しそうな表情をしているのが分かる

でも…

「どれだけ強くなっても、柱になっても、いざという時に家族のそばに居なければ何も意味が無い…あの夜、僕が任務に行ってたせいで…」

私は…知らない、そんなこと

無一郎君は一体、何を…

「あの時もう少し遅かったら…Aまで…」

「無一郎君」

「ん…?」

「それ、何の話?」

私がそう言うと、無一郎君が瞼をぴくりと動かした

「私、知らないんだけど…」

「…そっか」

すると、肩に載せられていた手がゆっくりと移動してきて、私の頸に触れた

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みやび(プロフ) - ずっとずっと待ってるので大丈夫ですよ!🎀 (4月14日 22時) (レス) @page50 id: 6d224a7bcb (このIDを非表示/違反報告)
みるくここあ(プロフ) - ゆっくりで大丈夫ですよ!更新されたら皆また読みに戻ってきますよ✨✨ (4月12日 1時) (レス) @page50 id: 4db17488dc (このIDを非表示/違反報告)
みやびりじゅ(プロフ) - みやびさん» なかなか更新できておらず申し訳ありません😢読んでくださってありがとうございます! (1月30日 23時) (レス) id: 00121ded6d (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - 久々の投稿ありがとうございます🥰 (1月24日 0時) (レス) @page47 id: a01fa8ae4e (このIDを非表示/違反報告)
愛っち(プロフ) - みやびりじゅさん» 仕方ありませんね💦来年の楽しみに取っておきますね!頑張ってください (11月8日 18時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやびりじゅ | 作成日時:2023年7月9日 21時

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