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肆-46 ページ46

そして夜になり、夕食も湯浴みも終えた私たちは子どもたちの様子を見に部屋へ行っていた

「まだ寝てる、あれから一度も目を覚まさなかったのかな」

二人でちょこんと眠っている様子が可愛らしく、私たちは顔を見合せて微笑んだ

「ぐっすりだね、もう今日はこのまま寝かせようか」

「そうだね」

そう言いながら私たちはどこからともなく子どもたちの両脇にそれぞれ布団を敷いた

「A、おいで」

「へっ?!」

布団の上に座った無一郎が、私の方を向いて両腕を広げた

「何、ど、どうしたの急に」

それが何を意図するかは分からない訳では無いけれど、思いもよらないことに慌てて聞き返してしまった

「…いいから」

戸惑いながらも近づくと、軽く腕を引っ張られてあっという間に私は無一郎の懐の中に収まった

「…今日の無一郎、優しい」

「んー…そう?いつもじゃない?」

くぐもって聞こえる低い声に、一定に伝わる心音にだんだん安心して瞼が下がってきてしまう

「いつも優しいけど…今日はもっと優しい」

「そうだなぁ、普段から思ってるけど、Aはいつも頑張ってるから…せめて僕には甘えて欲しいんだ」

「ふふ、ありがとう」

耳の近くで話されると何だか擽ったいけれど、この場所が世界で一番安心する場所だな、なんて思ってしまう

「…ねぇA、顔上げて」

優しく私の顎を持ち上げ、無一郎が顔を近づけてきた

え?…え?

待ってこれって

「っ!」

「…A?」

気がつくと、私は無一郎の口を手で塞いでいた

「あっ…いや、えっと、吃驚して…!」

「あははっ、はぁ、僕も吃驚したよ。嫌だったのかと思った」

私が慌てて手を離すと、無一郎は笑いながら言った

「ごめんね、嫌じゃないから…!」

「気にしないよ、可愛かったし。今日のAは随分と恥ずかしがり屋だね」

「ごめんね…私、本当どうしちゃったんだろう…」

「じゃ、もう一回…良い?」

頬に手を添えられて、私は何も言わず頷いた

その時、二人のうち一方の赤ちゃんが泣き出した

「あれ、起きちゃったかな」

急いでおしめを替えてお乳をあげていると、

「…僕、幸せだなぁ…」

子どもたちの頭を撫でながら、無一郎がぽつりと言った

「…私も」

普通の日常のはずなのに、それがこんなにも幸せに感じるのは、やっぱりさっきの夢のせいかな

こんなに幸せになれるなんて、昔じゃ考えられなかったから…

「…ん…?」

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みやび(プロフ) - ずっとずっと待ってるので大丈夫ですよ!🎀 (4月14日 22時) (レス) @page50 id: 6d224a7bcb (このIDを非表示/違反報告)
みるくここあ(プロフ) - ゆっくりで大丈夫ですよ!更新されたら皆また読みに戻ってきますよ✨✨ (4月12日 1時) (レス) @page50 id: 4db17488dc (このIDを非表示/違反報告)
みやびりじゅ(プロフ) - みやびさん» なかなか更新できておらず申し訳ありません😢読んでくださってありがとうございます! (1月30日 23時) (レス) id: 00121ded6d (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - 久々の投稿ありがとうございます🥰 (1月24日 0時) (レス) @page47 id: a01fa8ae4e (このIDを非表示/違反報告)
愛っち(プロフ) - みやびりじゅさん» 仕方ありませんね💦来年の楽しみに取っておきますね!頑張ってください (11月8日 18時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやびりじゅ | 作成日時:2023年7月9日 21時

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