肆-45 ページ45
「何でって…A、子どもたちを寝かしつけてくるって言ってたよね?」
無一郎君は首を小さく傾げながらこちらに歩み寄ってきた
「…そうなの?」
自分がそんな事を言ったなんて、全く身に覚えがない
「もー…寝惚けてるの?可愛い」
そして私の前に座り、私の頬を手でくるみながらじっと目を合わせてきた
「…っ」
真っ直ぐこちらを見つめる深い浅葱色の瞳に吸い込まれそうになる
「顔、真っ赤だよ」
はっとして慌てて少しだけ目を逸らすと、彼の綺麗な唇が緩やかに弧を描いた
「…髪、直してあげる」
そう言いながら私の頭に触れて、横になっていたせいで乱れていた髪から櫛を外すと、無造作に下ろされた毛束を手櫛にかけ、指を絡めて満足そうに目を細めた
その一つ一つの動作の妖艶さに、私の鼓動はより一層速まる
「ふふ、可愛いなぁ…Aはいつも可愛い反応してくれるけど、そこまで照れてるのは久しぶりに見た気がする」
「そういう無一郎…君…こそ、なんだか大人っぽい…」
あれ?
…無一郎
口に出してみて気がついたけれど、変な感じがする
だからといって今までどう呼んでたかは思い出せない
すると、無一郎君が不満そうに口を尖らせて言った
「確かにAよりは年下かもしれないけど…僕だってそろそろ二十七だし、もう父親なんだから。ちゃんと大人だよ」
「え?」
「え?」
「二十七…?」
「うん」
「…父、親…」
じゃあ、この双子の赤ちゃんは私たちの子ども…?
あ…でも、そりゃそっか
「…だよね、そうだね…」
「…Aがそこまで寝惚けるなんて珍しいね、だいぶ疲れが溜まってるんじゃない?」
そうだ…何か夢を見ていた気がする
そのせいで現実と混乱してるのだろう
でも何の夢を見てたんだっけ…昔の夢かな
私がぼんやりとする頭で考え込んでいると、無一郎は立ち上がろうと布団に膝をついた
「そろそろご飯が出来そうなんだけど、後で食べる?まだ横になっておく?」
「えっ、無一郎が作ってくれたの?」
「簡単にだけどね。でも疲れてるなら無理しないで休んだ方が…」
「大丈夫だよ、ありがとう…無一郎は優しいね」
「ふふ、そう言ってくれるなんて嬉しい」
無一郎の優しい笑顔につられて私も頬が緩んでしまった
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みやび(プロフ) - ずっとずっと待ってるので大丈夫ですよ!🎀 (4月14日 22時) (レス) @page50 id: 6d224a7bcb (このIDを非表示/違反報告)
みるくここあ(プロフ) - ゆっくりで大丈夫ですよ!更新されたら皆また読みに戻ってきますよ✨✨ (4月12日 1時) (レス) @page50 id: 4db17488dc (このIDを非表示/違反報告)
みやびりじゅ(プロフ) - みやびさん» なかなか更新できておらず申し訳ありません😢読んでくださってありがとうございます! (1月30日 23時) (レス) id: 00121ded6d (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - 久々の投稿ありがとうございます🥰 (1月24日 0時) (レス) @page47 id: a01fa8ae4e (このIDを非表示/違反報告)
愛っち(プロフ) - みやびりじゅさん» 仕方ありませんね💦来年の楽しみに取っておきますね!頑張ってください (11月8日 18時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやびりじゅ | 作成日時:2023年7月9日 21時