夜明けを導く光 3【鬼滅の刃】

肆-25 ページ25

鬼が狙ってるのは女である私

だから…私がどうにかするんだ

「…！｣


血鬼術 砂撒菱

光の呼吸 捌ノ型 日暈


今度は荒い砂の粒…！

砂の粒は尖っていて、肌に当たると激痛が走る

目に入ったら間違いなく失明だ

「ッ…！｣

鬼が次々と攻撃してくるのに、着物だから上手く走れず足がもつれる

「血鬼術…｣

また鬼が術を出そうとする

あぁどうしよう、これさえ無ければ…！

頸を斬ろうとしても、血鬼術を出されたら呼吸が出来なくなるし、近づくことも出来ない

だからまずは術を出させないようにする必要があるのに、とても一人ではそんな事…


霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消


あれだけの規模の砂嵐を消すほど広範囲の技で、無一郎君が砂の嵐を吹き飛ばしてくれた

「遅れてごめん｣

良かった、無一郎君も動けるようになった

もう大丈夫だ…

「…｣

私は地面に刀を置いた

「あ？諦めたか？｣

「？！何してる…！｣

体を強く引っ張られて、足が地面から離れて体が宙に浮いた後、無一郎君の声が一瞬で遠ざかった

「鬼狩りの女か、今宵はご馳走だな｣

物凄い力で引き寄せられ、私は鬼の懐の中に入っていた

「A…！！｣

「…｣

私は顔を横に向け、後ろに居る無一郎君に目で合図を送った

「…！｣

「ククッ…良い事を思いついたぜ！お前の目の前でこの娘を喰うとしよう！｣

「…おい、離せよ｣

「残念だな！この娘が居るから俺の頸が斬れないだろ？｣

鬼は満足そうに爪で私の頸を裂こうとする

それと同時に、私は鬼の首に手を回した

「…っ｣

もう少しで鬼の爪が私に触れるという時、鬼の首の後ろからドスッと鈍い音が鳴る

「…うっ！何だこれは…？！｣

よし、ひとまず成功…！

私が鬼の項(うなじ)に打ち込んだのは藤の毒が入ったクナイで、刺さると自動で注入されるという細工がされている

さっきムキムキねずみから受け取ったものだ

注入される毒の量は低級鬼だと死に至る程だから雛鶴さんのクナイよりも少し多めだけど…この鬼の致死量にはきっと達してない

でも、もうこれで厄介な血鬼術は出せないだろう

「ぐっ…成程、そういう作戦か…！おい、娘！待てッ｣

一瞬緩んだ鬼の腕から離れて直ぐに距離をとったけれど、鬼は地面を踏み込んでこちらに飛び付こうとして来た

「っ…！｣

まだそんな余力が…？

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