夜明けを導く光 3【鬼滅の刃】

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天元side

娘に恋人ができた

それを知った時、世の中の父親たちはきっとこんな感情なのだろう


これはつい今しがた起きた出来事…

『A、出かけるのか？』

Aは洒落た着物を着て、髪まで結っていつもより華やかに粧(めか)し込んでいた

浅草かどこかの都会にでも行くような格好だった

『はい！任務が入るかもしれないので、日が暮れる前には帰ってきますけど』

『へぇ。誰と行くんだ？』

大方甘露寺とだろうなとは思いながらもそう聞くと、Aは頬を淡く桃色に染めた

『と、時透…無一郎…君、です』

いつもすらすらと落ち着いて話すAが、珍しくぎこちない様子だった

頭を鈍器で殴られたような気がした

『は？！』

男ッ？！

それも時透？！どこに行くんだ？！そんなに親しい仲なのか？！いつから？！馴れ初めはッ…？！

玄関を出ていくAの後ろ姿を見ながら次々と問い詰めたいことが頭に浮かんで来たが、俺は衝撃で声も出ず呆然と立ち尽くしていた



「おい！！お前たち！！｣

はっと我に返った後、俺は直ちに嫁の所まで飛んでいった

「どうしたんですか？天元様、顔色が…｣

「Aが…時透と…出かけるって…っ｣

上手く舌が回らず途切れ途切れに言うと、慌てている俺とは真逆に嫁たちはきょとんとした

「今までも何回か二人で出かけていましたよ｣

「何だと？！｣

男女が二人、外で行動を共にする…それは恋仲である事を周囲に公表しても問題ないという事で、一般的には将来を約束したという事を意味する

まして複数回あったならそういう事でほぼ確定だろう

「いつからそんな関係なんだ…ッ｣

よりによってAの相手が、あの地味でぼーっとした何考えてるか分からない天才剣士？

そもそも色恋なんてものには疎そうな二人が？違和感ありすぎだろ

いや逆に考えれば、二人はお互いを異性として認識してなくて、お友達感覚で会ってるのかもしれない

あぁ、そうだ。きっとそれだ。あの二人だから。

「ですよね！いつから恋仲なの？って私が聞いても、Aちゃんたら顔真っ赤にして首振るだけで教えてくれなくて〜｣

「…｣

なぁ、どうなんだよ？A…

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