【文スト】龍の少女は探偵社に拾われる

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『戻りましt「A！！」っわお』

　ドアを開けると、与謝野さんが飛びついてきた

「やっっっっと戻ったかA！！！」

　やっぱり国木田さん怒ってる
　でも何故与謝野さんが……

「……心配したんだよ、帰りが遅いから」

　ああ、成程。

『ありがとうございます。心配かけてすいません』

　多分、さっきあったことは言わない方がいいかもしれない
　あ、そういえばあの人の名前聞きそびれたな。
　また会えたら、お礼を言おう

　あたしを泊めると言った太宰さん本人がまだ帰っていないらしい。
　与謝野さんの家はどうだと言われたけど、これ以上迷惑かけたくないからと断った

　それで部屋の合鍵貰って中に入ったんだけど

『んー、大丈夫かこれ』

　至る所に空の酒瓶、蟹缶、酒瓶。

　え、自 殺どうのより生活習慣心配なんですが。

『でも今日は疲れたから明日片付けよ……』

　お風呂入って、そのまま布団に倒れ込んだ




『……ん』

　ふと目が覚めた
　布団被ってなかった、てかこれ太宰さんのだ
　やっば、疲れすぎてて間違った

『……外の空気吸ってこよ』



　出てすぐの手摺りに寄りかかる

『気持ちいいな』

　初めて横浜にきたとき、潮の匂いに感動したっけ

　今宵は少し欠けた月。臥待月だったか。
　手摺りに腰掛けて、空を眺める

『よし、誰もいないね』

　ゆっくりと翼を広げる。文字通り、羽休め。
　最近はよく飛び回ってるからね。

『この位まではできるんだけどなぁ』

　龍になるとどうもねぇ。

　ゆっくりと脚を揺らす。案外この手摺り丈夫だな。

　他の部屋の電気は付いていない
　時間は確認してないけど、そこそこ夜中かな

　いい具合に休んだところで、翼を消す
　油断してると誰に見られるか分からない

　深呼吸をして、手摺りから降りようとした時だった




「……よォ、そんな所に居て落ちねぇか」



『……貴方は、』




　帽子を抑えて此方を見上げる人がいた。




　先刻の男だった。

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