26太宰side ページ29
無防備な人、とは、きっとこんな人を指すのだろうね
『すぅ……すぅ……』
崩れ落ちるように寝てしまったAちゃんを何とか支える
「却説、如何したものか」
多分起きないね。どうやって運ぼうか
「まあ、こう運ぶしかないんだけれ、どっ」
彼女の体が落ちないように横に抱きかかえる
まあ、俗にいう「お姫様抱っこ」だ
「あれ、太宰さん何方へ？」
ちょうどお茶を持ってきてくれた賢治君とあった
「Aちゃんが疲れて寝てしまってね。医務室まで運んでくるよ」
「わかりました。じゃあ、お茶はそこに置いておきますね」
「ありがとう」
ふと気になって、彼女の顔を見る
よほど疲れが溜まっていたのか、ぐっすりだ
「まあ、色々あったしね」
まだまだこの子は分からないことだらけだ
何処から来たのか
誰に追われているのか
異能の種類は分かっていても、詳細は分からない
「目が覚めたら、色々聞かせてもらうよ」
医務室に入ると、まだ女医はおらず、敦君がベッドで寝ていた
「やあ国木田君。敦君の様子は如何？」
「ああ、さっぱり目を覚まさ……お前、何だ、それは」
「何のことだい？」
「なんだではない。何故、Aを抱えている！」
あはは、国木田君の顔が真っ赤で真っ青だ
「厭だなあ、勘違いしないでくれ給えよ。彼女が疲れて寝てしまったから運んできたのだよ」
「そ、そうか。そこが開いているから、寝かせてやるといい」
そう云って、隣ののベッドを指差した
全く。私はどれだけ女性のだと思われているのだか。
そっと彼女を横たえる。
「女医と谷崎兄妹は？」
「まだ治療中だ」
「「ぎやああああああああ！！」」
なるほど
「…マフィアの襲撃だそうだな」
「ああ。驚いたよ」
ちらりと、彼を見て尋ねる
「動揺していないのかい？」
「当たり前だ。動揺は達人をも殺す。師匠の教えだ」
「ふぅん。そう。」
きっと今ここで彼に自分の手元がどうなっているか教えても
予想通りの行動をするだろう
ま、目が覚めた少年が指摘してくれるだろうけどね
また、彼女に向き直る
そっと頭をなでると、安心したような、照れくさそうな表情がみえた
途端に胸が温かくなる
「却説、私はもう行くよ」
「さぼるなよ」
「さあね」
そう云って、部屋を出る
さあ、やらなけばならないことが山積みだ
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菜種梅雨佐矢花(プロフ) - 公式LINE楽しみにしています。これからもう頑張ってください (2020年10月9日 21時) (
レス) id: 495b618e4b (このIDを非表示/違反報告)
ユッカ(プロフ) - ありがとうございます！明日か明後日には更新しますのでよろしくお願いします!! (2019年8月15日 21時) (レス) id: 2a8d441004 (このIDを非表示/違反報告)
夏色炭酸水(プロフ) - とても面白いです!!これからも頑張ってください！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: 4b5d2ae9b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユッカ | 作成日時：2019年6月23日 14時
