ご遠慮ください ページ37
……思えばここ最近、沖田隊長の翻弄が激しい気がする。事あるごとにこうして仕掛けてくるし、そうしてそのたびに顔を真っ赤にさせる私を間近で見て楽しんでいらっしゃる。今は後ろ向きでいるので沖田隊長の表情は窺えないけれど、恐らく、というか結構な確率でニタニタとしているに違いない。口元を歪めている彼の顔が目に浮かぶ。
顔を赤くさせたら沖田隊長の思う壺だということを理解していながら、不可抗力で赤くなってしまうのが悔しい。こうして悔しがるとまた沖田隊長がニヤリとするから更に悔しいし腹が立つのだ。ということで。
……是非とも翻弄はご遠慮くださいと私は言いたい訳だ。
「だって言ったもんなァ?『そんなの分からない』って」
つまり好きになる可能性があるっつーことだ、と。なんとも嬉しそうに口にする沖田隊長は、私の肩に自身の顎を置いている。「邪魔です」と抗議するも、「丁度いい」とかよく分からない言葉を返してくる。私の事情はどうやら関係ないらしい。大事なのは沖田隊長が丁度いいかよくないかってことらしい。
「…語弊です。間違えました。好きになりません断じて!!」
「強がんなって」
「強がってませんから」
…鼠牛虎辰巳……と干支を頭の中で並べていく。それにより私はなんとかして平常心を保とうと試みる。平常心で冷静に…。そう。沖田隊長のベルトコンベアの如くのペースに飲み込まれてはいけない。飲み込まれたら最後、無事ではいられないことは分かっているのだから。もう今までの経験でそれは身を持って理解しているはずだ。
けれど。
「……ん。」
「あう…!?」
……何を思ったか沖田隊長は、私の耳朶を甘噛みしてきたのだ。それにより私の平常心は一瞬で崩れ去る。
「ちょ…あのっ……え、だって…え………バカなんですか!!?」
「落ち着けよ」
「貴方が言いますか!?」
やらかした張本人が言いますか!?と言及するも、張本人はどこ吹く風である。どうしてくれよう。
「だっていつになってもお前、何も言わねぇんだもん」
ずっと待ってんのによォ、と。不満げな声を漏らしながら、私の顔を覗き込もうとする。見られないように私は即座に顔をうつ向かせる。
「…なんでこっち見ねぇんだィ」
「……あ、あいたたたた…首が急に下にしか向かなくなったぁぁ…」
「もっとマシな交わし方思い付かなかったのかィ」
そんな軽口を言いつつ、またもや小さな攻防線が始まるのだ。
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雨散 - 惚れ薬いいいいいいい!!!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - うおおおで爆笑しちゃったじゃないですかァ!!息が苦しかったですわぁー。 (2019年2月25日 21時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
月猫(プロフ) - 番外編、最高です!にやけが全く止まりませんww (2017年12月26日 14時) (レス) id: 84e6bcc189 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 番外編だーヾ(´∀`*)ノ゚やったー+.ヽ(≧▽≦)ノ.+ 凄い嬉しいです!(心の中で飛び跳ねています笑)まさか番外編が出るなんて…もうドキドキでした!本編も更新頑張って下さい。 (2017年12月11日 23時) (レス) id: 01d5cac8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ゆっくりノワールさん» 何より仕事です(笑)。兎に角彼女は仕事してほしいんです(笑)。多分明日続編出すので、またよろしくお願いします^^ 更新頑張ります! (2017年12月11日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年11月18日 19時