【銀魂】沖田隊長、翻弄はご遠慮ください【沖田総悟】

そのうち？ ページ36

沖田隊長がこちらに向けてくる視線から全力で逃げる。けれど、私の視線を追い掛けるようにして顔を覗き込んでくるものだから、逃げ場がない。どれだけ忙しなく視線を行き来させても無駄だとでもいうように彼は私から目を離さない。そろそろ穴が空くんじゃないだろうか。


「どうなんでイ」

「どうと……言われましても…」


困ります、と。私は遂に身体ごとくるりと沖田隊長から逸らした。こうしてしまえばもうこちらのものである。それに、そう。沖田隊長云々も確かに私は考えなくてはならないのかもしれはいけれど、それでも優先順位というものが存在していて。仕事が落ち着いているとはいえないとは言っていない。つまり、今は沖田隊長に構っている場合ではないということで。


「ほら、まだ仕事あるんですから、隊長はサボってた分を…」

「話逸らすな」


と。そんな声が聞こえたかと思えば、いつの間にか沖田隊長は私の背後に立っていて、両手を私のお腹に回したのだ。ギュッと両手を組んで私を自身の腕の中に閉じ込めてしまう。私の背中は彼の身体に密着してしまっていて、唐突な出来事に私は目をパチクリとさせる。

…あれ？、と頭の中でハテナマークを浮かべていれば。


「…A…」

「ッ、ちょッ…」


…耳に彼の唇が寄せられて、甘えるような声を発してくる。私の身体中に響くような、甘くて低い声に、耳元が熱が帯びていくのが分かった。


「ね、好き？」

「…ぅ…ちょ…待って…くださ…」


…ドクン、ドクン、と心臓がけたたましく鳴り始める。壊れそうなくらいに早いスピードで、大きく音をたてていく。沖田隊長の両手を掴んで引き剥がそうとするも、うまく力が入らなくてピクリとも動かない。慌てふためく私をよそに、沖田隊長は尚も続ける。


「俺のこと好き？」

「ッ…だっ…から…！」


まだ…分からないって…、と。

耳元で囁かれる甘い声に耐えかねて、私は小さく弱々しくそう口にした。触れる熱い吐息がくすぐったくて、身をよじる。けれど意地悪な沖田隊長は私を離すどころか、私を捕まえるその手に力を入れる。


「じゃあいつになったら惚れるんでィ」

「そんなの知らないですよ…！」

「でもそのうち惚れてくれんだ？」


なんて。またそんな意地悪な言葉が飛んできて。


「ッ、好きにならないです！！」


…そう、せめてもの抵抗に私はそう言い放ってやるのだけれど、それをも楽しんでいるような、クツクツという笑い声が聞こえてくる。それにまた私は顔を赤くして頬を膨らませるのだ。

ご遠慮ください→←そこから？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す